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2013/07/15:第240号 新たな論文評価指標Altmetrics:図書館員が利用者に対して行うべき支援
 

新たな論文評価指標Altmetrics:図書館員が利用者に対して行うべき支援

学術論文の影響度を測る指標として,近年ソーシャルメディアを活用した"Altmetrics"という新しい論文評価指標が注目されている。新たな指標に対し図書館側はどのように対応していくべきなのか。米国の大学・研究図書館協会(ACRL)が発行している"College and Research Libraries News"に,"Riding the crest of the altmetrics wave: How librarians can help prepare faculty for the next generation of research impact metrics"と題される記事が掲載された。Altmetricsの特徴と本記事の内容を以下に紹介したい。

 AltmetricsとはAlternative metricsを意味する造語であり,論文やデータセットなど様々な研究成果物の影響度をソーシャルメディアの反応を中心に定量的に測定する手法である。
 Altmetricsの特徴は即時性と多様性の2点にまとめられる。従来の引用分析が結果の出力に数年要するのに対し,Altmetricsでは数日から数週間ほどと速い。またAltmetricsの収集対象となる情報はTwitterやFacebookなどのソーシャルメディアが中心であり,専門家以外への影響度も計ることが可能である。
 現在PLoSなどのOA出版社を中心にAltmetricsを採用しているが,NatureやElsevier Scopusなどの大手出版社でも検索結果に指標を表示するサービスを開始している。

 出版者,利用者の双方で関心が高まるAltmetricsについて,ACRLの記事では図書館員は下記の3つの方法で利用者の支援を行うことができると述べている。

1. 最新の研究に基づいてAltmetricsに関連する議論の現状を伝える
   Altmetricsを取り巻く議論の現状に精通することがはじめの一歩であり,そのためには関連文献を
  読むことから始めるのが良い。
   Altmetricsで示される指標はブログでの引用数や一般からのダウンロード回数など多様であり,
  学者による文献保存や引用とは異なる特徴を持っている。
   特筆すべき点としてAltmetricsの情報源となるMendeleyなどの結果と従来の引用傾向に相関が
  あるかどうかを調査した研究や今後の可能性を模索した研究もあり,これらの文献を通じ図書館員
  はAltmetricsについて理解しておくと良い。

2. Altmetrics関連ツールを研究者が利用する際のサポート
   実際にAltmetricsを利用してみることで利用者からの問い合わせにも対応することができる。無料
  で利用できるImpactStoryはその手始めとして最適なツールである。

3. Altmetricsに関する教育と啓蒙活動
   図書館員は利用者向けの講習にAltmetricsを加え,デモをすることで告知と利用者の興味を刺激
  することができる。PLoSにおける論文レベルの指標やPubMedCentral,機関リポジトリなどから利用
  実績を集める作業を見せることでOA参加のメリットと研究者がどこに論文を投稿すべきかを検討す
  る機会にもなりうる。
   こうした講習を通じ,図書館は研究の影響度を評価する指標が複数あることを利用者に気付かせ
  る必要がある。Altmetricsの情報を共有することで,これまで研究者が参加を考えたことのないオン
  ラインコミュニティへの参加を促すきっかけになるかもしれない。

 Altmetricsを利用した評価の妥当性・信頼性に関しては今後の研究が待たれるところだが,研究者にとって自分の論文を誰がどのように利用したかが集計できることは,論文生産側のモチベーションのアップにつながり有用な情報であろう。
 本記事の著者3名のうち2人はImpactStoryの開発者であり,図書館員にAltmetricsの認知度アップの協力を求める内容となっていると取れないこともないが,学術コミュニケーションの舞台が紙からネットに移行する中で,ジャーナル単位から論文レベルの評価指標の必要性が増している。

・College and Research Libraries News記事 "Riding the crest of the altmetrics wave : How librarians can help prepare faculty for the next generation of research impact metrics"
http://crln.acrl.org/content/74/6/292.short. (accessed 2013-6-28)

・カレントアウェアネス・ポータル「Altmetricsの波に乗る:Altmetricsに関して図書館員が教員のためにできること(文献紹介)」
http://current.ndl.go.jp/node/23641. (accessed 2013-6-28)

・林 和弘 (2013)「研究論文の影響度を測定する新しい動き- 論文単位で即時かつ多面的な測定を可能とするAltmetrics -」『科学技術動向』(2013年3・4月号) . 科学技術政策研究所
http://www.nistep.go.jp/wp/wp-content/uploads/NISTEP-STT134J-2.pdf. (accessed 2013-6-28)

※本稿執筆に際しNature Publishing Group宮入氏にアドバイスを受けました。
  同氏に謝意を表します。

Thomson Reuters:Journal Citation Reports 2012年版をリリース

トムソン・ロイターの学術誌評価分析データベースJournal Citation Reports(JCR)2012年版が,6月19日(米国時間)に発表されました。

2012年版JCRの概要は以下のとおりです。
・83か国,232分野の学術誌データを収録
・収録誌総数は,自然科学系と社会科学系合わせて10,854誌(2011年版は10,675誌)
・今回,日本発のジャーナル6誌を含む373誌に初めてインパクトファクターを付与

新たにインパクトファクターが付与された日本のジャーナルは以下の6誌です。
・Congenital Anomalies
・Grassland Science
・Journal of Physiological Anthropology
・Nagoya Journal of Medical Science
・Ornithological Science
・Tokyo Journal of Mathematics

詳細は,弊社までお問い合わせください。

・トムソン・ロイター JCR最新版に関するプレスリリース
http://ip-science.thomsonreuters.jp/press/news/2013/20130621/

・トムソン・ロイター JCR製品概要
http://ip-science.thomsonreuters.jp/products/jcr/

・弊社 トムソン・ロイター製品紹介サイト
http://www.usaco.co.jp/products/isi/index.html

札幌医科大学がディスカバリーサービス"PIRKA"を正式リリース

札幌医科大学附属総合情報センターにてディスカバリーサービス"PIRKA (ピリカ)"が7月1日より正式にリリースされることになりました。現在,同センター・ホームページにおいて試験運用がされています。

 札幌医科大学のPIRKAはEx Libris社の提供する統合検索システム"Primo"を基幹システムとしています。Primoでは図書館が管理する「機関内の学術情報」と「ウェブ上の学術情報」(電子ジャーナル/データベース)を同時に検索し,その結果をシンプルなインターフェースで利用者に提供します。

・札幌医科大学付属総合情報センターHP
https://infonavi.sapmed.ac.jp/jpn/
(※ページ右側「総合検索 (PIRKA)」より利用することが可能です。)

Primoの詳細については弊社までお問い合わせください。

・弊社Ex Librisサイト
http://www.usaco.co.jp/products/exlibris/index.html

DSM-5,PsychiatryOnlineに搭載のご案内

5月22日にプリント版で出版されたDSM(精神疾患の診断と統計のマニュアル)の最新版DSM-5が,6月1日にPsychiatryOnlineに搭載され,現在Onlineでご利用頂けます。10年以上の年月をかけて改訂されたDSM-5は,精神科医師・研究者は勿論,他科の医師・心理学者・カウンセラー・理学療法士・ソーシャルワーカー・法医学者や法律家にとっても非常に有用です。

 PsychiatryOnline は,Online版のDSM-5等を提供するプラットフォームです。Online版であれば,パソコン以外に各種タブレット・スマートフォンでもご利用頂け,より調べたい事柄に容易にたどり着けるように設計されています。また,DSM-5以外にも診断,治療,ガイドライン,最新の研究成果等の情報源も併せて検索が出来る精神神経分野に関わる全ての方のOne Stop Resourceです。

http://www.appi.org/Pages/DSM.aspx
http://www.appi.org/eContent/Pages/PsychiatryOnline.aspx

Journal of Visualized Experiments(JoVE):新セクション,教材のご案内

2013年6月より,ビデオ学術誌JoVEに,新セクション:JoVE Behaviorが追加されました。また実験における基本を伝える教材ビデオ:JoVE Science Education Collectionがリリースされました。

<JoVE Behavior>
 脳の特定領域や生理的変化,内在する遺伝的原因に関連する人間と動物の行動を理解するための観察や実験的手法が収められています。下記分野が収録されています。

Cognition (Attention, Decision Making, Reasoning)/Sexual and Motivational Behaviors/Social Behaviors/Learning and Memory/Sleep and biological rhythms/Language Processing/Addiction/Emotion/Control of Movement/Consciousness 他
http://www.jove.com/behavior

<JoVE Science Education Collection>
 研究に関する基礎的な知識を,ビデオ実演を見ることによって学ぶことが出来ます。各ビデオモジュールには,実験の操作手順・器具の概要や考察・視覚補助資料等の他,実際の実験を収録したビデオ4-5本が含まれます。Science Educationには,現在2つのセクションがあります。2013年12月31日まで無料で利用できます。

General Laboratory Techniques:多くの実験に不可欠な実験装置の使い方等を紹介
Basic Methods in Cellular and Molecular Biology:細胞分子生物学で使用する基礎的なテクニックの紹介
http://www.jove.com/science-education-collection

詳細については,弊社までお問い合わせ下さい。

・JoVEホームページ
http://www.jove.com/

・弊社JoVEサイト
http://www.usaco.co.jp/products/jove/catalog/JoVE_catalog_201301.pdf

弊社取締役会長:山川隆司 学術出版協会 初の国際貢献賞受賞

米国に本部を置く学術出版協会(SSP: Society for Scholarly Publishing)は6月12日に,協会の活動に貢献した方々に授与される各賞の2013年受賞者を発表しました。これらの受賞者は,6月初旬にサンフランシスコで開催されたSSPの第35回年次大会で表彰されました。

 今回新設された国際貢献賞には,弊社取締役会長:山川隆司が受賞者に選ばれました。山川隆司は長年にわたり学術出版業界に務め,日本からの年次大会への参加促進等に貢献しました。表彰式では Mr. International と称されるほど,学術出版の振興のため世界中を飛び回ってきた山川隆司は,今後も業界の活性化に貢献し続けたいと考えています。

・SSPプレスリリース
http://www.sspnet.org/community/news/ssp-honors-excellence-in-leadership-and-volunteerism-with-its-highest-awards/

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