本文へスキップします。

H1

ユサコニュース詳細

USACO News:詳細

2013/11/30:第245号 APCと学術図書館
 

APCと学術図書館

 著者支払型のオープンアクセスモデルで著者が出版者に支払う論文出版加工料(Article Processing Charge以下APC)に学術図書館が果たす役割についての討議がJISC本部で2013年7月に行われた。この会議には英国の図書館員10人とSAGE社,JISCの代表が参加し,報告書が公開されている。
 英国の公的助成機関は研究成果の公開をOA誌(ゴールドOA)にすべきだとの方針を打ち出しており,RCUK(英国研究会議)もこの方針に準じ,助成した研究成果はOA誌に投稿するか,有料購読誌に投稿する場合でもAPCを支払うことで該当論文をOA化するハイブリッドOA誌があればそのオプションを使うことを義務付けている。著者の所属機関がAPCの支払い業務をすることを支援するため,RCUKは学術研究機関に対しそのための予算を助成しているが,その管理運用業務の受け皿は図書館が担っている。報告書には参加者の経験に基づく知見が記されている。
 参加者の多くから,簡単で費用対効果の高いAPCの管理手段は,ElsevierやSpringerなどの主要出版者によるOA会員制度にRCUKからの資金を委ねることだとの意見があった。一方で,この仕組みはある意味でビックディールの作り替えになるのではとの懸念も指摘された。
 出版者の会員制度を利用しない場合は図書館員が個々の論文に対するAPC割り当て処理をすることになるが,多くの場合先着順に対応し,著者の年功などは考慮しないという。初年度のRCUKからのAPC助成はRCUKによる研究成果公開に必要と思われる額の45%に留まる。不足分は著者か所属機関が補うことになる。図書館員がどの論文にAPCを割り当てるかの判断はできないため研究のレベルを教職員が評価する工程が必要性だとの意見があった。
 複数の共著者による論文で,著者の所属機関が異なるケースや,出身国が違うことでOA方針が異なったり,APC資金助成がないケースなどの対応は問題として繰り返し話題となった。
 具体的な処理の中で,VAT税率の課税間違いや,支払いと対応する論文の照合ミスで全体の作業が長期化したことなどの問題が報告された。ミスを防ぐため,内部の管理プロセスを重複させたケースもあった。APC管理の作業手順の確立や,管理ツール,国際的な標準化の必要性が認識された。
 ハイブリッドOAでの出版者の二重取りの懸念から,APC支払い分をその機関の雑誌購入代金から値引くべきとの意見もあった。各機関の購読金額に応じたAPCバウチャーを発行するRoyal Society of ChemistryのGold for Goldと呼ばれるシステムに対し好意的な意見があった。
 英国の助成機関も学術図書館もOA推進という部分では志を共にしているが,助成機関がゴールドOAを重視するアプローチであるのに対し,参加図書館員はむしろ機関リポジトリによるセルフアーカイビング(グリーンOA)で貢献したいと考えていたことは興味深い。

・Implementing Open Access APCs: the role of academic libraries http://www.uk.sagepub.com/repository/binaries/pdf/apc.pdf ,(accessed 2013-11-29)

・Research Information記事"APCs add complexity to librarian role" http://www.researchinformation.info/news/news_story.php?news_id=1381 ,(accessed 2013-11-29)

Research Informationウェブサイト http://www.researchinformation.info/

Web of KnowledgeにSciELO Citation Indexを追加

 トムソン・ロイターは,Scientific Electronic Library Online(SciELO)と協力し,Web of Knowledgeに新たにSciELO Citation Index を追加しました。
 これにより,ラテンアメリカ,カリブ海諸国,南アフリカなどの新興経済国およびラテン語圏先進国の地域ジャーナルデータが拡充され,Web of Knowledge上で,今まで以上に幅広い研究情報にアクセスすることが可能になります。
 SciELO Citation Index には,アルゼンチン,ブラジル,チリ,コロンビア,コスタリカ,キューバ,メキシコ,ポルトガル,南アフリカ,スペイン,ベネズエラなどの国々のオープンアクセス学術ジャーナル約650タイトル,および400万件以上の引用文献が含まれています。
 SciELO とは,インターネット上で高品質なオープンアクセス学術雑誌を共同で公開するプログラムのことであり,南アメリカやカリブ海諸国をはじめとする新興国の科学交流のため,これらの地域から発信された文献をデータベース化し,研究者に公開しています。このプログラムをサポートしているサンパウロ研究財団とトムソン・ロイターとの合意により,今回のデータが追加されることになりました。
 今回の統合は,2008年のChinese Science Citation Databaseに続くトムソン・ロイターによる地域ジャーナル拡充の一環で,2014年には,韓国の学術文献データベースの統合も予定されています。
 なお,SciELOの日本でのサービス開始は2014年1月を予定しています。

・トムソン・ロイター SciELO 追加に関するプレスリリース
http://ip-science.thomsonreuters.jp/press/release/2013/SciELO-Collaboration/
・弊社トムソン・ロイター製品紹介サイト
http://www.usaco.co.jp/products/isi/index.html

Henry Stewart Talks:新シリーズのご案内

 世界をリードする研究者の講義 (Talks) を提供するサービス: Henry Stewart TalksのThe Biomedical & Life Sciences Collectionに,下記2つの新シリーズが追加されました。

1. Clinical Proteomics (臨床プロテオーム)  
http://hstalks.com/main/browse_talks.php?r=751&c=252
2. Small Molecule Drug Discovery (低分子創薬)  
http://hstalks.com/main/browse_talks.php?r=739&c=252

 詳細については弊社までお問合せください。
・The Biomedical & Life Sciences Collection
http://www.hstalks.com/access
・弊社Henry Stewart Talksサイト
http://www.usaco.co.jp/products/HST/index.html

英日・日英翻訳ソフト MED-Transer V13 for Windows発売のご案内

 株式会社クロスランゲージが提供する日英・英日翻訳ソフト「MED-Transer」の新バージョン「MED-Transer V13 for Windows」が2013年12月13日に発売されます。
 MED-Transerは医学分野に特化してチューニングした翻訳エンジンと,医学基本語辞書,医学関連専門語辞書,医学辞典の定番「ステッドマン医学大辞典」を翻訳用に辞書化した「ステッドマン専門語辞書」などを標準搭載しており,信頼性の高い訳出を提供する医学分野専門の翻訳ソフトです。
 新バージョンは,翻訳エンジンの改定,機械翻訳の精度向上,英日・日英辞書の増強,各種翻訳ツールの改善などさまざまな改良が施されています。

 MED-Transer V13の特徴は下記の通りです。
・実用性の高い汎用XML翻訳機能  
出版データや公文書の管理用データなどで多用される汎用XMLデータを翻訳エディタにダイレクトに読み込み,高度な翻訳編集機能を使って翻訳,XMLタグを翻訳結果に保持して保存します。今まで  テキストベースでしか処理できなかった作業を効率化できる画期的な機能です。
・対訳アライメント機能  
翻訳メモリは,人の手により完成させた翻訳を,一文単位で「原文+訳文のペア」として登録するデータベースです。MED-Transer V.13の翻訳エディタには,原文と訳文が別々に保存されたファイルを読み込み,原文と訳文のペアを揃え,翻訳メモリの作成を容易にする「対訳アライメント  機能」が搭載されています。
・ファイル翻訳ツールがPDFに対応テキストファイル,HTMLファイルに加え,新たにPDFファイルに対応しました。 最大20までのファイルを連続で翻訳し,翻訳結果をまとめてファイル出力します。

【製品ラインナップ】
MED-Transer V.13プロフェッショナル(Windows)
MED-Transer V.13 パーソナル(Windows)
 各商品の機能,価格の詳細については,弊社リサーチ・アシストグループまでお問い合わせ下さい。

Portico 保存対象の論文数が2500万件に

 電子学術コンテンツをアーカイブし,永続的なアクセス保証をミッションとするPorticoは,11月4日に保存対象の雑誌論文が2500万件に達したことを発表しました。
 2005年のサービス開始以来,タイトル数,コンテンツの種類,参加機関数は増え続けています。現在は図書館850以上,出版者220以上が参加し,1万7千件の電子ジャーナル,22万以上の電子書籍,72の歴史的コレクションの永続的アクセス保証がPorticoに委託されています。

・Porticoプレスリリース
http://www.portico.org/digital-preservation/news-events/news/general-news/portico-e-journal-service-reaches-historic-milestone

・Porticoホームページ
http://www.portico.org/digital-preservation/

ユサコニュース一覧に戻る