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USACO News:詳細

2018/08/31:第297号 2022年の学術出版技術トレンド
 

2022年の学術出版技術トレンド

 国際STM出版社協会(以下STM)が5年先の学術出版を予想する技術トレンドの最新版,Tech Trend 2022年が公開された。STM Future Labに所属する識者30名弱によるブレインストーミングの成果がインフォグラフィックとして視覚化されるもので,STMの人気企画としてこの数年恒例化している。

 今回は,‘Entering the AI Era, Creative Humans & Smart Machines’(試訳:クリエイティブな人間と,高性能なマシーンによるAI時代の到来)をテーマとして,将来の学術出版を人の頭部に見立て,脳の各部位に出版の機能やサービスを配置し,その周りに出版が直面する研究や科学の生態系に関連した新たな展開やチャレンジを記載した。

 

 

 2022年に学術出版に実質的なAI時代が来ると予想しつつも,人間が今まで培ってきた「出版に関する深い知識」がAI活用のアイディアの源泉として非常に重要であるとし,脳の中心に位置し感情や長期的な記憶に関与するとされる海馬にそれを据えた。視覚化の方針として脳の上部に純粋なAIの機能,下部にはAIの出版への応用に関する項目を配置した。具体的には以下のようになっている。

 

 前頭葉部(黄)にはAIと人間の協業に関するテーマが配置された。AIが日常的な業務を代替えし,人間は新たな業務や機能を生み出して出版のプロセスを改善する役割を担う。
計算や数学的プロセス処理に関与するとされる頭頂葉(緑)は,データアナリティクスの領域にあてられた。 深層学習のアルゴリズムや非構造データの解析などの技術が出版に活用される。ブラックボックスにならないよう説明責任を果たすことが必要だとしている。
 その後ろ側(赤)の領域には高度なマシーンリーディングが配置され,AIによる研究デザインや創薬,治療の改善などテキスト・データマイニングを使った予測に関連するサービスが記載されている。
 視覚,聴覚などセンサー的な機能に関与するとされる側葉(橙)はスマートサービスの領域となっている。利用者を同定することにより生まれるパーソナライズ機能や,新たな評価指標,AIによるピアレビュー,マシーンによる論文,パフォーマンス評価などのサービスが含まれる。
 下部後方(紫)の領域には「利用者指向の出版」が配され,個人のニーズに適合した情報を提供するサービスなどを想定し,それらが研究を大いに加速すると期待している。
 その下の部位(青)は人間の脳ではバランスをとる機能に関与すると考えられていることから「研究の信頼性」に充てられた。AIが,研究データやソフトウエアを含む関連資料の入手可否確認や,資料中の間違いや不正を発見するプロセスを支援するようになるだろうと予想している。
 小脳(茶)は,呼吸や心臓の拍動など無意識な活動(自動実行)に関与していると推定されることから,その位置には技術が出版業務を代替えした場合のリスクに対する備えとして,監視機能,悪用への対策や,シンギュラリティの可能性などのテーマが盛り込まれた。AIをAIがチェックすることなど統治・制御の重要性にも触れている。

 頭の外側には,出版に影響を及ぼす要素として,ソーシャルメディアへの干渉,アクセス認証技術の進展,研究成果共有のためのプラットフォームの動向,研究データの取扱い方法の今後,ブロックチェーン技術の活用,学術出版で重要な役割を果たしてきた英国におけるBrexitの行方,GDPR,アジアにおける研究活動の今後の発展などが吹き出しに描かれている。音楽業界におけるSpotifyのようなビジネスモデルが学術論文に及ぶ可能性にも触れている。

 近未来にAIとロボットの社会進出が進むことは誰しもが予測するところだろうが,学術出版に特化して集めた知見を意図が伝わるグラフィックに仕上げたTech Trend では,具体的な主題が一覧できる。漠然とした考えを整理するためにも一見をお勧めしたい。

* 本稿は,STMの標準化と技術のディレクターEefke Smit氏による解説ビデオとスライド,STMホームページの記載を基に構成しました。脳の各部位の働きに関する記述は以下の資料の解釈に従っています。


<参考>
・STMの標準化と技術のディレクターEefke Smit氏による解説ビデオ
https://youtu.be/PFsGv8f41bg

・スライド
https://www.stm-assoc.org/2018_04_20_2018_STM_Tech_Trends_Philadelphia_Conference.pdf

・STMのニュースリリース
https://www.stm-assoc.org/standards-technology/tech-trends-2022/

過去の小誌Trech Trend解説記事
・Tech Trend 2021 / 第284号 2021年の学術出版技術トレンド(2017年5月)
https://www.usaco.co.jp/u_news/detail.html?itemid=180&dispmid=605

・Tech Trend 2020 / 第273号 2020年の学術出版技術トレンド(2016年5月)
https://www.usaco.co.jp/u_news/detail.html?itemid=166&dispmid=605

・Tech Trend 2015 / 第262号 今後の学術出版の技術トレンド(2015年6月)
https://www.usaco.co.jp/u_news/detail.html?itemid=155&dispmid=605

2019年:外国雑誌価格動向

 2019年の外国雑誌予約シーズンを前に,現時点で判明している主要出版機関別の外貨ベースでの価格上昇率を報告します。タイトル選定,予算計画の参考資料としてご利用ください。

◇American Diabetes Association…0%
◆American Roentgen Ray Society…4%
◇American Society for Microbiology…4%
◆American Society of Clinical Oncology…1%
◇American Society of Plant Biologists…6%
◆BioScientifica LTD 【GBP】…6%
◇British Editorial Society of Bone and Joint Surgery
(The Bone & Joint Journal)【GBP】…4%
◆Endocrine Society…5%
◇Federation of American Societies for Experimental Biology
(FASEB Journal)…3%
◇Mary Ann Liebert, Inc. …4%
◆National Academy of Sciences (PNAS)(※1)…1%
◆Portland Press Limited 【GBP】(※2)…5%

(※1)National Academy of Sciences (PNAS)
 Print On Demandの提供は2018年が最後となり,2019年から購読形態はOnline Onlyのみとなります。

(※2)Biochemical Journalに限り2019年もPrint+Onlineの購読形態が維持されることになりました。Essays in Biochemistry及びEmerging Topics in Life Sciences は,個別発注で冊子体も入手可能です。またBiochemical Society Package:Emerging Topics in Life Sciencesが正式に追加となります。

* 先頭に◆印がある出版機関は弊社が国内総代理店です。
* 米ドル以外で決済する出版機関は,機関名の右に【通貨】を表示しました。
* 複数のタイトルを提供する出版機関の数値は,弊社で取扱い実績のあるタイトルを対象に平均値上率を算出し,小数点以下を四捨五入しています。目安としてご参照ください。また,各種コンソーシアム等の価格値上率は本資料と異なる場合がございます。提案書もしくは取扱代理店へのご確認をお願いいたします。

 

Reprints Desk:メディカルオンラインの文献搭載

 学術文献を文献単位で提供するドキュメントデリバリーサービスで知られるReprints Desk社は,国内1,368以上の医学系出版物を提供する株式会社メテオとのパートナーシップを発表しました。これにより,Reprints Desk社が提供する文献発注プラットフォーム Article Galaxyからメテオ社が提供する約300万の国内医学文献の発注と,リアルタイムに近いスピードでのデリバリーが可能になります。

 Reprints Desk社の親会社であるResearch Solutions社President & CEO,Peter Derycz氏は今回のパートナーシップについて次のようにコメントしています。「我々のプラットフォームサービスの拡大と,顧客にとっての研究ライフサークルを短くすることは,我々にとっての優先事項です。メテオ社との連携により,この2つの目的を達成することができます」

詳細については,弊社までお問い合わせください。


<参考>
・Reprints Desk社プレスリリース
https://info.reprintsdesk.com/about/newsroom/reprints-desk-and-meteo-broaden-reach-of-japanese-medical-information-to-life-sciences-researchers-worldwide

・Reprints Desk社サービスについて(弊社サイト)
http://www.usaco.co.jp/itemview/template44_1_11868.html

Cell Press : Dr. John Pham氏がCellのEditor-in-Chief に就任

 Elsevierは,分子生物学者のDr. John Pham氏がCell Pressの旗艦誌:Cellの新Editor-in-Chief に就任したことを発表しました。Pham氏はCell44年の歴史の中で4人目のEditor-in-Chiefの栄誉を担うことになります。

 Pham氏は2012年より, Cell Pressの雑誌:Molecular CellのEditor-in-Chiefを経験しており, 自身が持っていた科学的な専門知識をさらに幅広い分野に広げました。Cellの新Editor-in-Chief就任に当たり今後の抱負を次のように語っています。「Cellを未来に導いていくこと,また科学の発展に寄与する最先端の発見を確実に提供し続けることに大きな喜びを感じています。」


<参考>
・Elsevierプレスリリース
https://www.elsevier.com/about/press-releases/research-and-journals/dr.-john-pham-appointed-as-new-editor-in-chief-of-cell

 

EndNote無料オンラインセミナーのお知らせ(9月開催)

 EndNoteの無料オンラインセミナーを下記の通り開催いたします。場所を問わず気軽に参加できるオンラインセミナーをぜひご利用ください。

▼オンラインセミナー詳細・お申し込みはこちら
 http://www2.usaco.co.jp/shop/pages/en_nvivo_webinar.aspx

● 開催概要:
日時:
 2018年9月6日(木)17:00 - 18:00
 2018年9月11日(火)17:00 - 18:00
 2018年9月21日(金)17:00 - 18:00

内容:EndNoteを使い始めよう!
(1) 製品インターフェース紹介・用語解説

(2) EndNoteと言えばコレ! - 投稿規定に合わせた参考文献リスト自動作成-
 2-1.EndNoteからWord上に文献を引用挿入する
 2-2.投稿するジャーナルのフォーマットに変更する
 2-3.投稿先のフォーマットがない時は?
 2-4.Word上から引用挿入した参考文献を削除する

(3) EndNoteに文献を保存 - PDF,PubMedから文献情報を取り込む -
 3-1.新しくライブラリを作成する
 3-2.PDFから取り込む
 3-3.PDFからの取り込みがうまくいかない時は?
 3-4.PubMedから取り込む

(4) EndNoteでPDFをカンタン整理 - PDF自動ダウンロード,PDF添付 -
 4-1.取り込んだ文献情報のPDFを自動ダウンロードする
 4-2.PDF自動ダウンロード機能を使う時の注意点
 4-3.手動でPDFを添付する

 最新版EndNote X9(Windows)を使って,基本操作(文献収集・管理,論文作成支援)をご説明します。これからEndNoteを使い始める方や,基本操作に慣れていない方にオススメです。

▼オンラインセミナーに関するお問い合わせはこちら
 ユサコ株式会社
アカデミア事業部 営業部 EC Sales
shop@usaco.co.jp 

皆様のご参加をお待ちしております。

 

展示・セミナーのご案内
日時 展示・セミナー名 会場
2018年9月4日(火)

日本医学図書館協会・日本薬学図書館協議会向け コンソーシアム説明会

東京説明会(全水道会館)
2018年9月5日(水)~9月6日(木)

大学図書館コンソーシアム連合(JUSTICE)2018年度版元提案説明会

一橋大学 一橋講堂,中会議場(学術総合センター 2階)
2018年9月6日(木)~9月7日(金)

第8回大学図書館学生協働交流シンポジウム

広島大学 東広島キャンパス 総合科学研究科K棟1階,大学会館1階)
2018年9月11日(火)~9月13日(木)

第161回日本獣医学会学術集会

つくば国際会議場
2018年9月13日(木)

日本医学図書館協会・日本薬学図書館協議会向け コンソーシアム説明会

京都説明会(京都テルサ)

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