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2005/03/15:第149号Google:グローバル・バーチャル・ライブラリーの構築を開始
 

Google:グローバル・バーチャル・ライブラリーの構築を開始
ウェブ検索エンジン大手Googleは昨年12月12日,英米の大学や公立
図書館の蔵書をスキャンし,Googleの検索ポータルでフルテキスト検索を
可能にする計画を発表した。

 ハーバード大学,スタンフォード大学,ミシガン大学,オックスフォード
大学の各図書館,およびニューヨーク市立図書館がこの計画に協力しており,
10年以上かけて合計1,500万冊以上の書籍や関連書類をデジタル化する予定で
ある。

 Googleは昨年10月,書籍内のフルテキスト検索を可能にしたGoogle Print
と呼ばれるサービスを開始しており,Googleの検索結果から検索語を含む
書籍の数ページを無料公開し,オンライン書籍販売サイトや所蔵図書館への
リンクを提供している。今回発表された主要図書館との共同プロジェクトは,
当サービスをさらに拡大させ,著作権の期限を終了した書籍については,全て
のフルテキストを公開する予定である。

 ニューヨークタイムズ紙は同年12月18日,当プロジェクトについて,「長い
間(その出現を)予見されていたグローバル・バーチャル・ライブラリーの
設立に向けた小さな一歩に過ぎないが,(Googleや主要研究機関による)壮大な
インターネット事業における重要な一歩である」と評している。また,ニュー
ヨーク市立大学のDavid Nasaw氏は,「(テキスト内の)キーワードを用いた
書籍や関連書類の検索が可能になれば,研究者の移動時間や経費の削減につな
がり,研究領域を拡大することも可能になる」と,当プロジェクトに大きな
期待を寄せている。

 これに対し,Googleのグローバル・バーチャル・ライブラリーの構築に対し,
疑問を呈する声も少なくない。米国文書保存者協会のRancall C. Jimerson氏
は,「誰が(デジタル化する)書籍を選択し,どのように整理・コード化する
のか」と,膨大な書籍のテキストデータが無造作に山積みされるのではと危惧
している。また,コロンビア大学のKate Wittenberg氏は,「図書館には(来
館者に対し)問題の策定から回答の検索までを手助けする役割があるが,バー
チャル世界では誰が(そのような手助けを)行うのか」と当プロジェクトの
有用性を疑問視している。

 実際,いくつかのプロジェクト参加図書館は慎重に対応を進めており,スタン
フォード大学とミシガン大学がほぼ全ての蔵書である800万冊および700万冊を
それぞれデジタル化の対象としてGoogleに提供する予定であるのに対し,ハー
バード大学は4万冊のみを対象としている。また,オックスフォード大学は対象
冊子数を公表していないが,1900年以前に出版された蔵書のみにデジタル化を
限定している。

 このように,当プロジェクトには解決されるべき多くの問題点が挙げられるが,
Googleがその膨大な資金力と高度な技術力を背景に,グローバル・バーチャル・
ライブラリーの構築に向け大きな一歩を踏み出した功績は大きく,今後のプロ
ジェクトの進捗に大きな関心が寄せられる。

<参考資料>
・Googleプレスリリース:
http://www.google.com/press/pressrel/print_library.html

・ニューヨークタイムズ紙(2004年12月14日)記事
"Google Is Adding Major Libraries to Its Database":
http://www.nytimes.com/2004/12/14/technology/14google.htmlei=5090&en=
0c69d796770d4f2c&ex=1260680400&partner=rssuserland

・ニューヨークタイムズ紙(2004年12月18日)記事
"Questions and Praise for Google Web Library":
http://www.nytimes.com/2004/12/18/books/18libr.htmlex=1261112400&en=
c701bfabf3850bd3&ei=5090&partner=rssuserland

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