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USACO News:詳細

2005/06/30:第153号英国ウェルカム財団,支援研究論文のオープンアクセス化を義務付け
 

英国ウェルカム財団,支援研究論文のオープンアクセス化を義務付け
英国ウェルカム財団(Wellcome Trust)は本年5月,同財団が資金
提供をしている研究プロジェクトに対し,研究成果として発表した
論文を,条件付きで無料公開するよう義務付けると発表した。

 これによると,本年10月以降にウェルカム財団から資金提供を受けた
新規プロジェクトは,研究論文を出版後6ヵ月以内に,米国立衛生研究所
(NIH)の医学系論文アーカイブサイト「PubMed Central」で無料公開
しなければならない。また,既存のプロジェクトに対しても,2006年10月
以降に出版された論文において,同様に無料公開を義務付ける予定である。

 ウェルカム財団はさらに,英国医学研究審議会(Medical Research
Council),英国バイオテクノロジー・生物科学研究会議(Biotechnology
& Biological Sciences Research Council),イギリス心臓病支援基金
(British Heart Foundation)などと共同で,PubMed Centralのミラー
サイトとなる「UK PubMed Central」を運営する計画を発表した。同ミラー
サイトの立ち上げとともに,他の支援機関もウェルカム財団と同様に,
論文の無料公開を義務付けるものと見られている。

 ウェルカム財団は医学系研究における英国最大の民間財団で,年間で
約4億ポンドを助成金として提供しており,資金提供を受けたプロジェクト
からは毎年約3,500件の研究論文が発表されている。同財団による今回の
声明は,昨年9月に発表されたNIHのオープンアクセス提案(本誌146号
トピックス参照)に追随するものであり,医学系論文に対するオープン
アクセス化への世界的な動向に一層拍車を掛けるものと思われる。

 学術出版業界はNIHの提案に反対しており,ウェルカム財団による支援
研究論文の無料公開義務に対しても反対の立場を取るものと思われる。
今後,両者がお互いにどのような歩み寄りをみせるのか,動向が注目される。

<参考資料>
・ウェルカム財団ホームページ:ニュースリリース
http://www.wellcome.ac.uk/doc_WTX025191.html

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