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2006/03/31:第161号電子ジャーナルアーカイブへの取り組み「Portico」
 

電子ジャーナルアーカイブへの取り組み「Portico」
電子ジャーナルの普及に伴い,そこに収録された電子情報の長期的な保存方法と,将来的な
アクセスを保障するための仕組みを確立することが必要になってきている。
 冊子体購読から電子ジャーナルのオンライン契約に利用体系が移行することにより,利用機関に
よるコンテンツの物理的な所蔵という行為が不要になるため,コンテンツを保存するための「サイト」は
減少していく。その一方で,不測の事態に備えるために信頼できる複数のバックアップが必要となる。
 また,この数十年の間にいくつかの文書フォーマットが登場してきたが,学術情報を記録した
ファイルの可読性を永続的に保障する技術的なサポートも課題である。

 このような問題は早くから指摘されており,2002年にはJSTORが「電子アーカイビング
イニシアティブ」という名称で対応を開始している。昨年,このプロジェクトは「Portico」という独立した
非営利事業に昇格し,活動が表面化してきた。

 Porticoは電子的に刊行された学術ジャーナルに対する永続的なアーカイブを提供することを
ミッションとしているが,その活動には,出版機関との交渉,保存作業フローの確立,サイトの運営,
財源の確保,必要な技術の開発,持続可能な経済モデルの創出とそのプロモーションなどが
含まれる。
 現在,米国数学学会,UK Serials Groupがこのプロジェクトに参加表明しているほか,
2005年12月にはエルゼビア社も,同社が提供する電子ジャーナルサービスであるScienceDirectに
収載されるすべてのジャーナルの公式アーカイブとして,Porticoを採用することを決定した。

 Porticoを運営するためには学術コミュニティーのサポートが不可欠となるが,本年1月に開催された
全米図書館協会冬季年次大会で図書館向け価格体系が発表された。図書予算の規模に応じ1,500〜
24,000米ドルの年間維持会費を徴収するシステムとなるが,2006年に参加した機関には初期設立者の
特典として25%,2007年の参加機関には10%の割引を5年間実施する方針だ。

 電子ジャーナルを中心とした学術情報の流通基盤がもつ脆弱性を克服するモデルとして,
Porticoが図書館や出版機関にどのように受け入れられるか,今後の歩みを注視したい。

・JSTORホームページ
http://www.jstor.org/
・Porticoホームページ
http://www.portico.org/
・弊社JSTORサイト
https://www.usaco.co.jp/product/detail.html?pdid=203

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