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2006/07/31:第165号PLoS,オープンアクセスジャーナルへの著者投稿料を値上げ
 

PLoS,オープンアクセスジャーナルへの著者投稿料を値上げ
 著者支払い型のオープンアクセスジャーナル出版の嚆矢であるPLoS(Public Library of Science)
は,本年7月より著者への投稿料を引き上げた。従来の1,500ドルから,PLoS Biology,PLoS
Medicine,およびPLoS Clinical Trialsは2,500ドルに,PLoS Computational Biology,PLos Pathogens,
およびPLoS Geneticsは2,000ドルとなった。

 この理由としてPLoSは「実際の出版コストをより正確に反映させたものであり,オープンアクセス
ジャーナルのビジネスモデルに問題が生じているわけではない」と説明しているが,
news@nature.comは,PLoSの財政は寄付金に過剰に依存しており,これらの資金を取り崩しつつある
として,その将来性を不安視している。

 著者支払い型のオープンアクセスジャーナルモデルに関しては,従来よりその継続性を疑問視する
声があったが,news@nature.comによれば,PLoSは昨年は約100万ドルの損失を計上しており,
投稿料と広告による収入では総コストのわずか35%しかカバーできておらず,過去3年間をみても,
収入の増加が支出の増加に追いついていない。

 この指摘に対しPLoSは「収支の均衡には時間を要するものであり,指摘されるほどの問題はない」
とし,今年以降の収支の改善に自信を表明している。

 昨年7月にはロンドンに本拠を置くオープンアクセス出版社BioMed Centralも投稿料を値上げ
している。これらの動きを,オープンアクセスジャーナルの著者投稿料が最適化に向かう過程と
みるか,モデルの綻びとみるか,今すぐ判断を下すのは早計であるが,その成り行きを占う材料と
して,PLoSの財務状況の動向が注目される。

<参考資料>
・Public Library of Science: Publishing Model
http://www.plos.org/journals/model.html
・Open-access journal hits rocky times - nature.com
http://www.nature.com/news/2006/060619/full/441914a.html

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