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2006/12/28:第170号 DOAJ:オープンアクセスに関する著者向け情報サービスを開始
 

DOAJ:オープンアクセスに関する著者向け情報サービスを開始
オープンアクセスジャーナルのディレクトリを提供するサイトであるDirectory of Open Access
Journals(DOAJ)を運営するスウェーデンのルンド大学は,「For Authors Service」と題する
オープンアクセスに関する著者向け情報サービスをDOAJのメニューに新たに加えた。

 「For Authors Service」は,自らの研究成果をオープンアクセスジャーナルに投稿しようとする
研究者に,投稿可能なオープンアクセスジャーナルについての情報を包括的に提供しようとするもの
である。これによりDOAJでは,研究者が論文の投稿先として適切なオープンアクセスジャーナルを
選択するための機能が強化されたことになる。従来のDOAJのページでは,全収録論文が
オープンアクセスとして利用できる「ピュア」なオープンアクセスジャーナルが収録されているが,
新たに加わった「For Authors Service」のページは,「Directory of Open Access & Hybrid Journals
For Authors」と題され,「ハイブリッドジャーナル」も収録されている。ここで「ハイブリッドジャーナル」
とは,著者が投稿料を支払うことを選択すれば,その論文は無料で読者に提供され,その他の論文は
購読者のみがアクセスできるジャーナルと定義されている。また「For Authors Service」では,
これまでDOAJで提供されていたジャーナルについての目録情報に加え,論文を投稿しようとする
研究者にとって必要な,投稿料などの情報も提供されている。

 DOAJ設立の目的は,オープンアクセスジャーナルの包括的なデータベースを構築し,
それらの存在を広く知らしめることによって,オープンアクセスジャーナルの利用増大や,影響力の
強化を図ることである。DOAJはピアレビューによって品質が管理された全てのオープンアクセス
ジャーナルをカバーすることを意図し,言語や主題による制限は行っていない。ジャーナルレベル
では,タイトル,出版社,ISSN,主題などの目録情報を収録しているが,一部のジャーナルに
ついては,論文単位での書誌情報も収録し,検索を可能にしている。2006年12月現在,2,491誌の
ジャーナルがDOAJに収録され,そのうち741誌の収録論文は,論文単位での検索が可能に
なっている。

 ラフラバ大学がオックスフォード大学出版局発行雑誌を対象に行った分析では,同一雑誌の
なかでも,オープンアクセス論文は購読を必要とする論文よりダウンロード件数が多いとの結果が
報告されている。一方本誌165号,167号で紹介のように,著者支払い型オープンアクセスジャーナル
での投稿料値上げの動きなど,オープンアクセスジャーナル刊行費用の負担のあり方については
多くの出版者や学会により様々な試みがなされている。

 DOAJの「For Authors Service」が包括的に提供する情報は,自らの論文へのより多くのアクセスの
ためオープンアクセスによる投稿を考慮する研究者への助けとなると同時に,確立途上にある
著者支払い型オープンアクセスモデルの現状を把握するためのツールになることと思われる。

・Directory of Open Access Journals
http://www.doaj.org

<参考資料>
・Assessing The Impact of Open Access : Preliminary Findings from Oxford
 Journals
http://www.oxfordjournals.org/news/oa_report.pdf

・本誌第165号【トピックス】
 「PLoS,オープンアクセスジャーナルへの著者投稿料を値上げ」
https://www.usaco.co.jp/u_news/detail.html?itemid=46&dispmid=605

・本誌第167号【トピックス】
 「オープンアクセスをめぐる動向:
   Nature Publishing Group / American Physical Society」
https://www.usaco.co.jp/u_news/detail.html?itemid=48&dispmid=605

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