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USACO News:詳細

2007/04/30:第173号 学術出版社の電子コンテンツ課金:Value-Based Pricing
 

学術出版社の電子コンテンツ課金:Value-Based Pricing
米国化学会(American Chemical Society:ACS)は2007年3月,電子ジャーナルの価格体系を
2008年から改定すると発表した。電子コンテンツへの課金方法について学術出版社ごとにさまざまな
モデルが提案されるなか,新たな課金モデルの登場といえるACSの新価格体系を以下に紹介する。

 新価格体系は,まず購読機関を機関のタイプごとに設定された「tier(階層)」に分類し,
tierに応じた価格を適用するというものである。機関タイプごとのtier判定要素は次のように
定められている。

・米国内学術機関向け
 カーネギー分類(カーネギー財団による米国の高等教育機関の分類)およびsub-tierとして,
 在籍者数と利用実績。
・米国外学術機関向け
 利用実績を米国学術機関と比較し,同等のカーネーギー分類を適用。Sub-tierとして国ごとの
 経済状況を考慮するため世界銀行の分類(GNI codes)を使用。
・企業および政府機関向け
 利用実績。Tierはタイトルごとに定められる。

 ジャーナルの価格自体も,電子版と冊子版は,全く独立したものとして価格付けされることとなった。
発表によれば,電子版の価格は,刊行された論文数,インパクトファクター,ダウンロードされた回数の
3点を判定要素とする「value-based metrics」によりタイトルごとに決定するとされ,ACSはこれを
「value-based pricing」と名付けている。

 ACSは従来の冊子版の価格をベースとした電子ジャーナルの価格体系は,電子版の購読が主流と
なった顧客のニーズに合わなくなったとし,「value-based pricing」による新価格体系はより透明性の
高い価格決定方法だとしている。

 電子コンテンツの登場以来,出版社はより適切な価格体系を適用すべく検討を続けてきた。
現在ではFTE(Full-Time Equivalent)により機関規模をtierに分類し,tierに応じた価格を設定する
ケースが多く見られるが,前年の利用統計に基づき次年度の価格を決定する従量制に類似した
価格体系や,著者課金タイプのオープンアクセスモデルの試行など,適切な課金体系の模索は
続いているといえる。

 カリフォルニア大学図書館は,2007年1月「The Promise of Value-based Journal Prices and
Negotiation」と題するレポートを発表した。レポートは学術雑誌の価格決定方法として,雑誌の
影響度(インパクト),製作コスト,学術機関と研究者による査読等の編集作業などへの貢献,
コンソーシアム購入などによる業務効率性といった要素を考慮した,学術雑誌の「価値」に基づく
方法を提言している。ACSの新価格体系は,刊行された論文数,インパクトファクター,
ダウンロードされた回数を,雑誌「価値」測定の指標としたものであり,同レポートの提言にも通じる
新たな価格算出方法として注目される。

 ACSは新価格体系のレビューのため,本年春から夏にかけ購読機関にコンタクトするとしている。
雑誌「価値」算定指標や機関のtierへの分類基準が適切なものであるのか,また複雑になることが
予想される価格算出の手続きが実用に耐えうるものであるのか,購読機関の反応を含め今後の
検証が必要であろう。

<参考URL>
・ACS Value-Based Pricing Plan
http://pubs.acs.org/valuebasedpricing/
・The Promise of Value-based Journal Prices and Negotiation
http://libraries.universityofcalifornia.edu/cdc/valuebasedprices.pdf

Cell Press:「Cell Host & Microbe」創刊
Cell Press社は,同社発行ジャーナルの11タイトル目となる新刊誌「Cell Host & Microbe」(ISSN:1931-3128,Editor:Lakshmi Goyal,Ph.D.)を2007年3月14日にリリースしました。

 同ジャーナルは,病原体の分子細胞生物学,微生物学,治療,ワクチンデザインに焦点を当て,
微生物(細菌,真菌,寄生虫,ウィルス)とその宿主(脊椎・無脊椎動物または植物)に関連する最新の
研究成果を掲載します。

 現在,Cell Press社のサイトで初号のフルテキスト(PDF版)へのフリーアクセスが提供されて
います。また,今後刊行される2号,3号についてもフリーアクセスが提供される予定です。

・Cell Press:Cell Host & Microbe
http://www.cellpress.com/misc/papepage=cellhostandmicrobe

 「Cell Host & Microbe」の刊行スケジュールは年12回ですが,初年度のみ年10回刊行の予定です。

 価格等詳細につきましては,弊社までお問い合わせください。

ebrary:オックスフォード大学出版局(UK)コンテンツ提供開始
オンラインブック探索プラットフォームebraryは,オックスフォード大学出版局(OUP)英国部門のコンテンツの提供を開始しました。

ebraryはこれまでもOUP米国部門のコンテンツを提供していましたが,今回の追加により2007年に
刊行された1,315タイトル,および2006年以前に刊行された約1,800タイトルがOUPの電子ブック
コンテンツとして提供されることになりました。

 2007年6月15日までに,2007年分のOUPコレクション全タイトルをebraryで購読した機関へは,
OUPの全バックタイトルへのアクセスが無料で付与されます。これらのタイトルを全て購入した場合の
価格合計は2千万円以上に相当します。

 今回ebraryは,OUP(UK)のほかに,ABC-CLIO,Temple University Press,ALA Editions,
およびAcademica Pressと新たにコンテンツ提供の契約を締結しました。このうちABC-CLIOおよび
ALA Editionsについては,Perpetual Collection(買取型コレクション)のみでの提供となります。

 詳細なタイトルリスト,カタログ,デモなどのご希望については,弊社までお問い合わせください。

・弊社ebrary紹介ページ
http://www.usaco.co.jp/products/ebrary/
・ebraryホームページ
http://www.ebrary.com/

BMJ Publishing Group:Journal of Clinical Pathology創刊号からの電子化完了
 BMJ Publishing Groupは,病理学に関連するあらゆる側面の情報を取り扱う学術誌Journal of Clinical Pathology(JCP)の創刊号からの電子化を完了しました。
 
BMJ Publishing Groupは,刊行する臨床医学分野の学術誌23タイトルのバックナンバーの電子化を
2007年末までに完了する計画をたてています。JCPは創刊号からの電子化が完了した最初の
ジャーナルとなり,1947年に発刊された初号から現在まで60年分のアーカイブがオンライン上で
提供されることになります。また電子化されたアーカイブは,2004年からJCPに合併されたMolecular
Pathology(MP)の1995年から2003年までの全号を含んでいます。

 発行から1年以上経過したすべての論文は,オンライン上で登録をすることにより,
購読者以外でもBMJ Journals Onlineのサイトから無料で閲覧することができます。

<参考URL>
・JCP Online
http://jcp.bmj.com/
・BMJ Journals Online
http://journals.bmj.com
・BMJ Journals Online登録サイト
http://journals.bmj.com/cgi/register
・弊社BMJ Groupサイト
http://www.usaco.co.jp/products/bmj/bmj.html

ブリタニカ:オンラインデータベースアップデートのお知らせ
ブリタニカ・ジャパンが提供する百科事典データベース「ブリタニカ・オンライン・ジャパン」は,2007年第1回目のアップデートを3月下旬に行いました。今回の主な更新内容は,次のとおりです。

(1)小項目事典
 ●項目の追加・改訂
  市町村合併への対応,国勢調整の反映,航空機関連項目の大幅見直し,
  物故者の反映など
 ●マルチメディアコンテンツの拡充
  画像:昆虫と植物を中心に約650点追加
  動画:昆虫を中心に約70点追加
  例)ミツバチ,カブトムシ,キアゲハ,タマムシ,タンポポ,セリ,
  ハハコグサなど

(2)大項目事典
  美術,西洋史,東洋史,日本史,日本文学などの分野で約180項目追加
  例)産業革命,ルネサンス,平家物語,アフリカ音楽など

(3)国際年鑑
 ●特別寄稿・特別リポート:39本追加
 ●スポットライト:1本追加
 例)北朝鮮問題と日本外交,グラミン銀行,京都議定書の行方など

 今回のアップデートでは,大項目事典や年鑑記事の追加をはじめ,公共図書館を訪れる児童にも
有用なマルチメディアコンテンツが大幅に拡充されています。

 また,英語版ブリタニカ・オンラインでは,Google・Yahooの2大サーチエンジンとリンクし,
閲覧している項目に関連深いWeb上の情報を取得できるようになりました。従来から本文ページ右上に
表示されている[Expand Your Research]の枠内に[Britannica Web Search]として追加されます。
この新機能により,検索項目に関するより多くの情報にワンクリックでアクセスすることが可能に
なりました。

 ブリタニカ・ジャパンは今回のアップデートのほかに,3回のデータベースアップデートを年内に
予定しています。

STAT!Ref:新タイトルのご案内
 EBMツール「ACP PIER」や著名な医歯薬学の電子ブックを提供する「STAT!Ref」に,新たに「ACP Journal Club」が追加されました。

 「ACP Journal Club」は,内科学に関する厳選された原著論文やレビュー文献を構造化抄録の
形式で要約し,専門家によるコメントと共に内科医へ提供することを目的としています。
更新頻度は年6回で,収録論文は100以上の臨床雑誌から一定の厳しい基準を満たした質の高い
論文が選択されています。

 論文の選択基準は,基本的な4点(英語で書かれている,研究対象がヒトである,一般内科と
専門内科の臨床治療において重要なトピックスであって,有病率に関する記述的な研究ではない,
研究の疑問に対して一貫したデータ分析を行なっている)のほか,カテゴリごとの詳細な選択基準
(治療・予防に関する論文の選択基準,診断に関する論文の選択基準,など9つの基準)も
設けられています。

 構成は,ACPによるタイトル,原論文の書誌事項,構造化抄録,コメント,参考文献の順に
なっています。

 詳細につきましては,弊社までお問い合わせください。

JSTOR:検索サイト新機能のお知らせ
学術ジャーナルを初号から提供するジャーナルアーカイブ,JSTORの検索サイトに新しい機能が追加されました。

・Advanced Searchの改良
 最適な検索結果を得るためのフィールド指定やキーワードの組み合わせを,より直感的に
行えるようにインターフェースが改良されました。検索対象とするフィールド(記事全体,著者,
論文のタイトル,抄録,図表のタイトル)をプルダウンメニューから選択した上でキーワードを入力し,
キーワードの組み合わせ方(AND,OR,NOT)を指定できるようになりました。

・リンク機能の向上
 リンクにより関連文献を検索する機能が向上しました。検索結果画面に表示される「References」
へのリンクにより,検索された論文の参考文献がJSTORに収録されている場合は,リンクを
クリックすることで該当文献を表示できます。また,「Articles Cite this Article」へのリンクにより,
検索された論文がJSTORに収録されている文献に引用されている場合は,引用している文献への
リンクが表示されます。
 さらに,Google Scholarとの連携により,検索された論文を引用している文献や関連文献をGoogle
Scholarで検索するためのリンクが追加されました。

・PDFファイルの高機能化
 JSTORからダウンロードされるPDFファイルが新しいフォーマットになりました。文書内の
語句検索や,テキストの「Copy & Paste」が可能です。

・検索キーワードのハイライト
 検索結果の論文表示画面では,検索に用いたキーワードがハイライトされて表示されます。

 詳しくは「JSTOR検索マニュアル」をご参照ください。
    http://www.usaco.co.jp/products/jstor/manual/jstor_manual.pdf

CrossRef:DOI登録件数が2500万件に
電子ジャーナルなどの論文間の相互リンクサービスを提供するCrossRefは,DOI(Digital Object Identifier)の登録件数が2500万件を超えたと発表しました。

 CrossRefは,欧米の主要出版社により設立された非営利団体Publishers International Linking
Associationにより2000年に運営が開始されました。論文間のリンクを実現するために,
参加出版社から論文のメタデータを収集し,DOIと呼ばれる電子化された著作物に対する識別コードを
管理しています。

 近年,DOI登録件数の増加は加速しています。CrossRef運用開始後約4年で登録件数は1000万件に
達しましたが,次の1000万件の追加に要した期間はおよそ2年でした。2007年2月に登録件数は
2500万件に達し,2000万件到達後1年に満たない期間で500万件が新たに登録されたことになります。

 なお,昨年の500万件におよぶ新規のDOIの多くが電子ジャーナルのアーカイブ化によるものでした。
Royal Societyをはじめ,Elsevier,Springer,Sage,Kluwer,Wiley,Blackwell,American Association
for the Advancement of Science,JSTORが膨大な遡及電子化作業に伴いCrossRefへのDOI登録を
行いました。

・CrossRef
http://www.crossref.org

EndNote X:BioMed Centralからのダイレクト・インポート
 世界中で利用されている論文作成支援ソフトEndNote Xは,PubMed,医中誌Webなど各種データベースから学術文献情報を取り込み,取り込んだ文献情報の検索,編集,フルテキストファイルの管理,および参考文献リストの自動生成などを可能にするソフトウェアです。BioMed Central,JBC Online,JSTORなどいくつかの著名な文献データベースは,論文の書誌事項をEndNote Xで直接読み込み可能な形式でダウンロードする機能を備えています。

 このたび弊社ホームページに,BioMed Centralに収録されている論文の書誌事項をEndNote Xに
簡単に取り込むダイレクト・インポート機能の説明を掲載しましたのでご案内します。
http://www.usaco.co.jp/products/isi_rs/qa/0058.html
(BioMed Centralからデータを取り込めますか?)

 BioMed Centralは,ピアレビューされた生物医学研究論文への迅速かつ無料のアクセスを
提供することを目的に運営され,医学・生物学系のオンライン学術雑誌を多数収録しています。
http://www.biomedcentral.com/

 EndNote Xの使い方に関するFAQは,弊社EndNoteページをご参照ください。
http://www.usaco.co.jp/products/isi_rs/technical.html


英国Ingenta社はVISTA International社と統合し,新会社「Publishing Technology」を設立しました。

 電子出版の分野で実績のあるIngenta社と,出版に関する広範囲なサポートに定評のある
VISTA International社の統合は,両社のサービスを利用する出版社に対し多くの利益をもたらす
ものと期待されます。

 なお,今回の統合後もIngenta社の「IngentaConnect」,VISTA International社の「author2reader」
といった製品名およびサービスの内容に変更はございません。

・Publishing Technology社ホームページ
http://www.publishingtechnology.com/
・Ingenta社ホームページ
http://www.ingenta.com/corporate
・VISTA International社ホームページ
http://www.vistacomp.com/

 Ingentaの詳細につきましては,弊社までお問い合わせください。

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