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USACO News:詳細

2007/09/30:第178号 eXtensible Catalogとオープンソース〜第1期調査報告を発表〜
 

eXtensible Catalogとオープンソース〜第1期調査報告を発表〜
 米ロチェスター大学(University of Rochester)のRiver Campus Librariesは,アンドリュー・メロン
財団(Andrew W. Mellon Foundation)から$283,000(約3,200万円)の助成を受け,図書館が所蔵する
コレクションへの新たなアクセス方法を提供する代替インターフェイスとして,オープンソース
アプリケーション「XC」開発プロジェクトを推進している。

 XC(eXtensible Catalog)は,従来の冊子体と電子情報資源を同一のインターフェイスで提供する
ことで,よりカスタマイズされたアクセスを利用者に提供することを目的としている。利用を希望する
図書館は,無料でアプリケーションをダウンロードし,自館の既存ILSに適合するようにカスタマイズや
拡張を施すことができる。

 プロジェクトは,第1期(2006年から2007年)と第2期(2007年から2009年)に分けられ,XC構築に
向けての準備段階とされた第1期は,目的のサービスを実現するために満たさなければならない
メタデータスキーマや規格,対応するデータベースのバリエーションなどが検討され,開発に期待する
図書館の要望を調査する作業が進められてきた。作業期間は本年4月までとされ,その成果が
注目される中,7月20日に調査レポートが発表された。

 調査は非英語圏を含む米国内外の中規模から大規模の大学・公共図書館や教育・技術関連機関を
ターゲットに,ウェブアンケートのシステムSurveyMonkey(www.surveymonkey.com)を用いて実施
された。さまざまなILS(Voyager,Innovative,Aleph,Sirsi,Horizon,Evergreen,GEAC Advance,
自館開発のILSなど)を利用する合計68機関より回答が寄せられ,多角的な情報が収集された。

 68機関のうち9%は,現時点においてPrimoやEndeca,AquaBrowserなどの代替インターフェイス
契約をすでに結んでおり,45%の機関は2年以内にそのような代替インターフェイス契約を
結ばなければならないプレッシャーを感じていると回答している。一方で,92%の機関はXCの
サポートが商業的なベンダーによって提供される場合でも導入することを検討すると答え,
67%はサポートがまったく利用できない場合でもXCの導入を検討するだろうと述べており,
同レポートは,XCのような冊子体と電子情報資源を同時に検索する代替インターフェイスへの期待が
大きいものであることを結論づけると同時に,媒体を問わない横断的な観点からの資料検索や
Web2.0機能など,新時代の図書館に求められるニーズを示唆している。

 この調査結果に基づき,2009年までのプロジェクト第2期には,図書館コミュニティのニーズを
反映したインターフェイスの機能的な仕様や技術要件の集約と,アプリケーションの構築が
進められる。僅かに先行する商業的なベンダーが提供する製品に対して,XCのようなオープンソース
アプリケーションがどのように市場に浸透していくのかは興味深く,今後のXCプロジェクトの進捗に
引き続き注目したい。

 オープンソースでの図書館システムとしてはニュージーランドで開発されたKohaを国内で評価した
報告があるが,日本語対応やMARCの相違,個人情報管理など固有の問題の存在が指摘された。
また,2006年には「Project Next-L」と呼ばれる日本発のオープンソース図書館システムの
開発プロジェクトも始動しているが,XC同様,図書館員からの意見を募り柔軟で使いやすい
システムの仕様をまとめていくことからスタートする。

<参考URL>
・eXtensible Catalog Survey Report(PDF)
http://www.extensiblecatalog.info/wp-content/uploads/2007/07/
XC%20survey%20report.pdf
・Koha - Open Source ILS - Integrated Library System
http://www.koha.org/
・Project Next-L
http://www.next-l.jp/
・カレントアウェアネスNo.292 2007年6月20日 CA1629
図書館員自身の協同で作る図書館システム仕様:日本発のオープンソース
図書館システム作成を目指して
http://www.dap.ndl.go.jp/ca/modules/ca/item.phpitemid=1067

NISO:SUSHIを認可
 SUSHI(The Standardized Usage Statistics Harvesting Initiative)は,電子情報資源における
COUNTER準拠の利用統計データを,ベンダーから利用機関に自動転送することを目的とした
プロトコルで,米国情報標準化機構(NISO)がその標準化に取り組んでいましたが,本年9月に
まとめられたNISOにおける投票採決の結果,Z39.93として規格化されることが内定しました。
この後,SUSHIのワーキンググループが米国規格協会(ANSI)に最終版を提出し,ANSIによる
認可を受け正式リリースとなる見込みです。

 利用統計管理を簡素化するモデルとしてERMS(電子情報資源管理システム)での採用が
見込まれる中,2006年9月にNISOがその仕様案を公開し,2006年9月20日から開始された機能検証
(トライアル)は,当初の予定通り2007年5月20日に終了しました。トライアル期間中,本プロトコルは
利用者・提供者の両サイドから数多く実施・検証され,その際に確認された改善・修正点が最新の
基準に反映されます。

 なお,図書館情報分野で重要な役割を果たしてきているNISOは,2007年6月にアンドリュー・
メロン財団(Andrew W. Mellon Foundation)から$196,000(約2,200万円)の助成を受けており,
この助成はNISOの学術コミュニケーションプログラムのさらなる活性化をもたらすものと
期待されます。

<参考資料>
・NISO Standardized Usage Statistics Harvesting Initiative(SUSHI)
http://www.niso.org/committees/SUSHI/SUSHI_comm.html
・本誌第168号記事
「NISO:SUSHIの仕様案を公開」
https://www.usaco.co.jp/u_news/detail.html?itemid=49&dispmid=605

慶應義塾大学とコーネル大学がGoogleブック検索図書館プロジェクトに参加
 慶應義塾大学図書館とコーネル大学図書館は,それぞれ「Googleブック検索図書館プロジェクト」の
26・27番目のパートナーに加わることを発表しました。

 Googleブック検索図書館プロジェクトは,世界中の主要な図書館から書籍の全文または一部を
デジタル化し,インターネット利用者にオンライン上で提供することを目的としています。著作権の
制限を受けない書籍に関しては,フルテキストの閲覧を可能とし,著作権の保護を受ける書籍に
関しては,タイトル,著者名,キーワード,本文の一部抜粋などの文献情報が提供されます。

 本プロジェクトに参加する日本初の図書館となる慶應義塾大学図書館は,著作権保護期間が
満了した約12万冊の書籍を,コーネル大学は著作権保護期間を問わず約50万冊の書籍を提供し,
Googleと共にそのデジタル化に取り組みます。

<参考資料>
・Google図書館プロジェクト
http://books.google.com/intl/ja/googlebooks/library.html
・慶應義塾大学プレス・リリース(PDF)
http://www.keio.ac.jp/pressrelease/070706.pdf
・コーネル大学プレス・リリース
http://pressoffice.cornell.edu/Aug07/google.library.shtml

ebrary:Taylor & Francisグループのタイトルを買取型コレクションへ移行
 書籍のオンライン利用をより簡単に,かつ効率的に行うためのコンテンツとテクノロジーを提供するプラットフォーム「ebrary」は,現在Academic Completeなどの年間購読型コレクションにて提供されているTaylor & Francis
グループのタイトルのうち,2001年以降に出版された全タイトルを,2007年10月2日に買取型コレクションへ移行することを決定しました。


 買取型コレクションに移行される約2,000タイトルの代替として,ebraryは大手学術出版社が
重要コンテンツとして挙げる,以下の出版社が提供する2,500タイトル以上を年間購読型コレクションに
追加提供することを発表しています。

・Oxford University Press
・Yale University Press
・MIT Press
・University of Minnesota Press
・Palgrabe Macmillan
・University of California Press
・University of Texas Press
・Guilford Press

 また,買取型コレクションへの移行が決定したタイトルに関しては,リストプライスから50%オフでの
購入が可能(2007年11月末まで)となり,買い取ったタイトルへの永続的なアクセスも保証されます。

 詳細については,弊社までお問合せください。

・弊社ebrary紹介ページ
http://www.usaco.co.jp/products/ebrary/
・ebraryホームページ
http://www.ebrary.com/

JST:JDreamに特許・文献統合データベース「JSTPatM」を追加
 JST(科学技術振興機構)は,国内最大級の科学技術情報データベースサービスJDreamに,国内特許技術情報と科学技術文献情報を同時に一括検索出来るデータベース「JSTPatM(ジェイエスティパットマルチ)」を2007年9月3日(月)より開始しました。

 「JSTPatM」は,文献情報として科学技術分野を対象とする「JSTPlus」,および医学薬学分野を
対象とする「JMEDPlus」の合計約2,208万件を収録(2007年9月時点)し,特許情報として1993年以降に
国内で発行された公開特許公報約513万件を収録しています(月1回更新)。特許情報は,書誌,
要約,請求項1が閲覧可能となっており,技術情報として利用可能です。

 研究開発に必要な技術調査として,科学技術文献情報だけでなく特許技術情報も合わせて
同時に検索することで,時間と費用を節約した調査を行うことができます。

 検索料金を含む詳細については,以下のJSTのサイトをご参照ください。
 http://pr.jst.go.jp/new/info20070816.html
EndNote X1:Macintosh版 販売開始,並びに価格改定のご案内
 2007年9月18日より,EndNote X1(11)Macintosh版の国内での販売を開始します。
 これに伴い,現行のバージョンX(10)の販売は終了いたします。
 EndNote X1 Macintosh版の販売スケジュールは以下のとおりです。

・バージョンX1 発売開始日:2007年9月18日(火)
・バージョンX1 ご注文受付開始日:2007年8月31日(金)午後12時から
・バージョンX ご注文最終受付日:2007年8月31日(金)午前9時まで

●EndNote X1の主な強化点
・収録レコードをグループ化する機能を備え,検索・管理がさらに容易に
・ライブラリ一覧にて全著者名を表記
・ライブラリウィンドウ,スタイル選択リストにQuick Search機能が追加
・ProCiteで作成したデータベースを自動的に変換
・EndNoteからの直接接続が認証プロキシに対応
・搭載されている投稿規程のスタイル数は,2,900種類以上

●動作環境(2007年8月現在)
・対応OS:MacOS X 10.3.9 および10.4.x
・RAM 容量:256MB 以上
・HD 空容量:180MB 以上
・対応ワープロ: Microsoft Word X 10.1.2以上/ 2004
・CPU:450MHz 以上(PowerPCまたはIntel Macintosh)
・CD-ROM ドライブ(インストール時に必要)

 今回のEndNote X1(11)Macintosh版リリースに合わせて,2007年8月31日
午後12時よりWorkstation License 新規ならびにWorkstation License
アップグレードの価格を下記のとおり改定します。

・新規----------------------------------------------------- ¥52,290.
・アップグレード ------------------------------------------ ¥20,790.
・Workstation License 新規(5個セット)------------------- ¥162,750.
・Workstation License アップグレード(5個セット)---------- ¥89,250.

*Windows版,Macintosh版共に価格改定となります。

 価格等の最新情報は,弊社ホームページをご参照ください。
http://www.usaco.co.jp/endnote/

Thomson Scientific:Web of Knowledgeアップグレードのご案内
 Thomson Scientificが提供するWeb of Knowledgeの機能が2007年8月20日にアップグレードされました。

 新バージョン(ISI Web of Knowledge 4.0)は,2007年12月末まで旧バージョン(ISI Web of
Knowledge 3.0)と合わせて提供されますが,2008年1月には新バージョンへ完全移行する予定です。
主な改善点は以下の通りです。

●新しい検索画面
 ご契約の全データベースを検索するタブ,および個々のデータベースを検索するタブが設定され,
デザインが全体的に変更されました。また,検索履歴の表示,検索フィールドの指定もできるように
なりました。

●新しい検索結果画面
 旧バージョンでは画面右側に表示されていた分析・出力などの諸機能の表示位置が,検索結果
画面上部に表示されるようになりました。

●新しい検索結果レコードの詳細表示
 旧バージョンでも表示されていた論文の被引用回数に加えて,最近その論文を引用した文献の
著者名やタイトルなどの書誌情報を同一画面中(画面右)に3件まで表示し,利用者に追加の情報を
提供します。また,表示している論文と共通する引用文献を持つ論文(引用文献に重なりのある論文)
を抽出するためのリンク“view related records”が設定されました。抽出された「共通の引用文献を
持つ論文」のリストには,それぞれの引用文献数“Cited Refs”と共通する引用文献数を表わす
“Shared Refs”が列記され,関連の深さを客観的に判断するための情報を提供します。

 詳細については,弊社までお問い合わせください。

Thomson Learning:社名変更のご案内
 世界有数の情報プロバイダとして,世界中の教育・図書機関へ冊子および電子情報サービスを
提供するトムソンラーニング(Thomson Learning)が2007年8月31日より社名を変更いたしました。

新名称:センゲージラーニング(CENGAGE Learning)
新日本法人名:センゲージラーニング株式会社

 トムソンラーニングは,トムソンコーポレーション(The Thomson Corporation)の学習・高等教育
事業部門として発足し,2007年5月に投資ファンドのApax PartnersとOMERS Capital Partnersに
売却されました。新社名は,同社の理念である「Center of Engagement」を反映しています。

 なお,日本法人名今回の社名変更に伴うGale,Heinle,Wadsworth,Delmar Learning等の
ブランド名,および製品名の変更はありません。

ウォルターズ・クルワー・ヘルス:新プラットフォーム「OvidSP」リリース
 OvidおよびSilverPlatterの新しいプラットフォーム「OvidSP」が本年10月25日にリリースされることになりました。

 OvidSPは,従来のOvid Web GatewayとSilverPlatter WebSPIRSのもつ優れた検索機能を継承し,
かつ最新のWeb技術により強化された統合プラットフォームです。Google世代に対応した分かりやすい
インターフェイスに,直感的な検索を可能にするNatural Language Search(文章形式の入力による
自然語検索機能)も組み込まれています。

1. シンプルで,直感的なインターフェイス
テキスト検索,自然語検索,ジャーナル・書籍・データベースなどの複数のリソースを同時に
検索する機能に加え,検索結果を適合率に基づくランキングで提示する機能などが備わります。

2. 様々な検索方式を提供
引用検索や主題検索,フィールドを指定した検索など,簡単で使いやすい表形式による
ベーシックサーチに加え,従来のGatewayを継承したOvid“クラシック”により,検索初心者から
上級者まで,あらゆるタイプの利用者に適した操作画面を提供します。

3. 検索サポート機能を強化
検索の妥当性や,詳細かつ幅広い検索を行うための機能を強化します。RSSフィードや
電子目次配信機能などのアラートサービスを改善するほか,アブストラクトへの容易なアクセスや,
検索結果に注釈を記載する機能を搭載します。

 今回のリリースにつき,現在Ovid Web Gatewayをご利用の方は,自動的に新・旧
両プラットフォームを利用できるようになります。また,SilverPlatter WebSPIRSをご利用の方は,
ご希望により新プラットフォームのトライアル・アカウントを作成します。

より詳細な情報を入手次第,本ニュースにてお知らせいたします。
  
2008年度:外国雑誌価格値上がり動向
 先月に引き続き,外国雑誌2008年度価格の動向をお知らせします。

◇American Chemical Society・・・約8.3%
◇American Medical Association (JAMA & Archives Journals)・・・値上げなし
◇American Society of Agronomy・・・約7.0%
◇American Society of Hematology・・・約5.0%
 <対象タイトル:Blood with Annual Meeting Abstracts Book>
◇American Society for Microbiology
 <プリント>・・・約47.0%
 <オンライン>・・・約20.0%
 ※プリントの大幅な値上げは,オンライン購読への誘導が目的のようです
◇Lippincott Williams & Wilkins(LWW)
 <プリント>・・・約9.7%
 <オンライン>・・・約9.1%
◇Oxford University Press
 2008年決済通貨がUSDからGBPに変更されたため,算定できません。
 以下は参考値としての2007年外貨(USD)ベースでの平均値上げ率です。
<プリントのみ>・・・約8.4%
<オンラインのみ>・・・約13.9%
<プリント+オンライン>・・・約8.3%
◇Prous Science
 <DailyDrugNews.com>・・・約10.0%
 <Synthline>・・・2008年より提供中止
 <ジャーナル>・・・約12.0%
◇Science
 <プリント>・・・6.9%

【注意】
 タイトルを複数提供する出版社については,全タイトルの値上げ率の平均値となります。
 あくまで目安としてご参照ください。

参考本誌第177号「2008年度:外国雑誌価格値上がり動向」
https://www.usaco.co.jp/u_news/detail.html?itemid=59&dispmid=605
 

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