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USACO News:詳細

2007/11/30:第180号 学術雑誌のキャンセル要因
 

学術雑誌のキャンセル要因

 PCG(Publishers Communication Group)は過去4年間の雑誌契約更新における動向調査を実施し,その結果を本年10月に発表した。

 このプロジェクトは,2003年7月から2007年6月まで,アメリカ,ヨーロッパ,オーストラリア,アフリカ,中東における国公立・私立大学,政府機関,医療機関,非営利団体,および個人を対象に大規模に
行われた。60以上の出版社から刊行されたSTM,社会科学,人文科学のタイトルにおける22,000以上の冊子体購読の中止を分析・集計した結果が報告されており,学術情報の流通が印刷体から電子ジャーナルに移行する中で,図書館の収集,選定プロセスに生じた変化が読み取れる結果となっている。

 総括的な数字として,冊子体の購読キャンセル率が2003−2004年は38%,その後,56%,54%,50%と集計され,2004−2005年をピークとして減少に転じている。

 購読キャンセルの理由としては「電子ジャーナルへの移行」が4年間の調査期間を通し最も多かった。電子ジャーナルのみの購読形態に転換する動きは世界共通のトレンドとして今後も続くと予想される。調査最終年度(2006−2007年)では約4分の1の雑誌が購読中止に追い込まれた。この傾向は,タイトルの刊行機関自身が提供するオンラインオンリーの契約体系へ移行する場合だけでなく,サードパーティーが提供するエンバーゴ付の電子ジャーナルパッケージに含まれるタイトルにも及んでいた。2006−2007年に2位にランクされた要因は,「低利用率」であり,これもほぼ4年間通した傾向になっている。同年で3番目の理由は,「教職員からの意見」であるが,調査初年度の5%(8位)から4年間で10%に倍増した。「コンテンツの適合性」は4位(9%)であった。

 PCGは学術出版機関向けのコンサルタント会社として著名であり,従来Ingentaの一部門だった。現在は,本年2月にIngentaとVistaとの合併により誕生したPublishing Technology社の傘下になっている。PCGの業態から今回の報告書も学術出版機関が販売戦略,編集方針策定の際の参考にするための考察が加えられている。

 「電子ジャーナルへの移行」を説明するセクションでは,電子化におけるパートナー選びが重要であることを喚起している。どのアグリゲータまたはプラットフォームでコンテンツを提供すれば利用率と収益が最大になるか精査することの重要性が今まで以上に高まる。電子ジャーナルパッケージに含まれるタイトルの変動が一層活発化する可能性を読み取ることもできる。また,「低利用率」の項では,利用者がコンテンツにアクセスしやすくするためにリンキング設定やウェブサイトの保守などの対策を講じることを勧めている。プリントオンリーの出版形態に関しては,オンラインに慣れた利用者から敬遠される可能性や,図書館側から利用測定に手間がかかる資料とみなされる危険性をほのめかしている。「コンテンツの適合性」に関しては,専門領域の注目度の変遷や,利用者からの評価を参考にコンテンツのウィークポイントを分析し編集方針を変更することを勧めている。また,学術機関におけるカリキュラムの進化・変遷にともなう編集方針の見直しも提案している。

 図書館が限られた予算で最良のコレクションを構築することを目指すなか,出版機関が継続購読を維持するためには,電子化がもたらす変化やインパクトを分析し,それに応じた編集,流通,価格政策,販売戦略を実施することが必要になってきている。

・Publishers Communication Group
http://www.pcgplus.com/
・Publishing Technology社ニュース・リリース
http://www.publishingtechnology.com/news/pcg_renewals_report_sep07.pdf
・本レポートの請求先
http://www.pcgplus.com/resnresource/resources/

Protico:Springer発行電子ジャーナルをアーカイブ

 STM分野の電子ジャーナル・電子書籍の大手出版社であるシュプリンガー社(Springer)がPorticoプロジェクトに新たに参加することに なりました。

 Porticoは,電子的に発行された学術ジャーナルをアーカイブし,研究者や学生にその永続的な アクセスを保証するために設立された非営利団体です。エルゼビア社(Elsevier)やワイリー社(Wiley)などの大手商業出版社をはじめとする多くの大学出版局や学協会が,自身の発行する電子ジャーナルのアーカイブをPorticoに委ねています。本年9月には,NPG(Nature Publishing Group)の参加も発表されました。

 今回のシュプリンガー社の参加により,同社の824タイトルが追加され,結果として出版社数45,計7,200タイトル以上の学術ジャーナルがPorticoにアーカイブされることになります。なお,参加図書館数は小規模大学から総合大学まで,386に増加しました。わずか1年半前(2006年6月)には,出版社数13,収録タイトル数約3,500,参加図書館数100のプロジェクトであったPorticoは,ダークアーカイブの必要性が認知されつつあるなか,着実に参加出版社と参加図書館を増やしています。

 Porticoにアーカイブされたジャーナルタイトル,参加出版社および参加図書館リストは以下のPorticoホームページをご参照ください。

・Porticoホームページ
http://www.portico.org/index.html

Porticoの詳細については,弊社までお問い合わせください。

<参考資料>
・本誌第174号【トピックス】電子ジャーナルのアーカイビングと保存に関する動向
https://www.usaco.co.jp/u_news/detail.html?itemid=56&dispmid=605

JSTOR:新タイトル追加のお知らせ

 学術ジャーナルのバックナンバーを電子的に提供するJSTORに,新たに44タイトルが追加されました。

 コレクション別の追加タイトル数は以下の通りです。

Arts & Sciences Collection:1タイトル
Arts & Sciences Collection:4タイトル
Arts & Sciences Complement:23タイトル
Biological Sciences Collection:13タイトル
Business Collection:3タイトル
Health & General Science Collection:1タイトル
※一部,複数のコレクションに収録されているタイトルがあります。

 タイトル詳細は,参加機関向けにJSTORのページで公開(以下URLを参照)されています。非参加機関の方は,弊社までお問合せください。

・JSTORタイトル詳細(ログインにはユーザー名,パスワードが必要)
http://www.jstor.org/resources/oct2007.html
・弊社JSTORサイト
http://www.usaco.co.jp/products/jstor/index.html

OCLC:WorldCat SelectionサービスからBlackwellのレコードが利用可能に

 OCLC(Online Computer Library Center)は2007年10月,WorldCat Selectionサービスにおいて
ブラックウェル(Blackwell)社の書籍レコードが利用可能になったことを発表しました。

 WorldCat Selectionサービスは,図書館の選書・発注を支援するサービスで,2006年12月にOCLCが
コーネル大学と協力して開発ました。加盟する図書館は新しい図書リソースの導入を検討する際,複数のベンダーから通知された選書候補レコードを比較・参照することができ,また,選択したWorldCatレコードを自身の図書館システムに簡単にアップロードすることが可能です。

  ブラックウェル社は2007年7月にWorldCat Selectionサービスへの参加,およびBlackwell Collection
Managerとの連携計画を表明しており,今後はWorldCat SelectionのレコードからCollection Manager
タイトルへのリンクを設定することで,図書選定に必要な情報すべてを統合していく予定です。

・ブラックウェル社 プレス・リリース
http://www.blackwell.com/downloads/OCLC%20Release%20July_06_07FI.pdf
・OCLC プレス・リリース
http://www.oclc.org/news/announcements/announcement240.htm

Thomson:2007年度第3四半期決算を発表

 トムソン社(The Thomson Corporation)は,2007年度第3四半期の決算報告において,収益が18億ドル(前年同期比11%増),営業利益が3億1,200万ドル(同1%減),実質成長6%となったことを発表しました。

 今期の営業利益が微減した主な要因としては,2007年5月に発表したロイター(Reuter)買収に関連する費用(2,900万ドル),THOMSONplusへの投資費用(2,400万ドル),予想される訴訟和解に関連する費用(1,300万ドル)などが計上されたためと説明され,これらを除いた場合の営業利益は前年比16%増であったと推定しています。

詳細は,下記のURLをご参照ください。
・トムソンコーポレーション プレス・リリース
http://www.thomson.com/content/pr/corp/earnings_financial/242257

MetaLib:MJ-Finderに対応

 弊社は,Ex Libris社が提供する統合検索システム「MetaLib」の国内リソースに,株式会社医学書院の「MJ-Finder」を追加しました。

 MJ-Finderは,雑誌記事の検索と抄録の閲覧までを無料で提供し,フルテキストPDFをペイパービューで提供する雑誌記事検索閲覧サービスです。株式会社医学書院が2007年6月に開始し,11月現在,医学系24タイトル,看護系8タイトルの計32タイトルを提供しています。

 今回の対応により,医中誌Web,メディカルオンライン,医薬サーチなどの医学系データベースとともにMJ-FinderをMetaLibから検索できるようになりました。弊社は今後もMetaLibの国内リソースへの対応を強化していく予定です。

詳細については弊社までお問い合わせください。

SFX:導入機関が1,500を突破

 Ex Libris社は2007年11月,Kyung Hee大学(韓国,ソウル市)が同社のリンクリゾルバー「SFX」の1,500番目の導入機関になったことを発表しました。

 同社によると,この1年間で全世界のSFX導入機関は1,000から1,500機関へと増加し,日本を含むアジアの成長率は60%であったと発表しています。

 SFXは電子ジャーナルやOPAC等,図書館が管理する資源やサービスを集中的にコントロールし, 利用者を最適な資料に誘導する状況判断型のリンクナビゲーションツールであり,電子ジャーナル リストなどの機能も提供します。

・Ex Libris社プレス・リリース
http://www.exlibrisgroup.com/newsdetails.htmnid=552

詳細については,弊社までお問合せください。

医学中央雑誌刊行会:医中誌Web(Ver.4)クリップボード機能をリリース

 医学中央雑誌刊行会は,医中誌Web(Ver.4)の新機能としてクリップボード機能をリリースしました。

 クリップボード機能とは,医中誌Webの検索結果の中から利用者が必要な文献だけをピックアップし,一時的に保存する機能です。今回の機能追加により,複数のテーマで検索を行う際も,必要な結果のみを最終的に一括印刷,ダウンロードすることが可能となりました。クリップボードへ保存できる文献情報は最大500件で,これらは医中誌Webをログアウトすると同時に失われます。

・医中誌Web(Ver.4)バージョンアップ情報
http://www.jamas.or.jp/ver4/v4_top.html

Ovid:11月の無料データベース

 Ovidは,毎月特定のデータベースを1か月間無料で提供しています。
 本年11月の無料トライアルデータベースを以下にご案内いたします。
 
【BIOSIS Archive】
 農学,生化学,生命工学,植物学,生態学,環境学,細菌学,神経学,薬理学,公衆衛生および
毒物学といった生命科学分野の包括的な文献データベースBiological Abstractsのアーカイブ版で
あり,1969年にオンラインでの提供が開始される以前の冊子体を電子化したファイルです。

・作成元:Thomson Scientific, Inc.
・収録期間:1926年〜1968年
・収録レコード件数:3,500,000件以上

アクセス方法などの詳細については,弊社ウェブサイトをご参照ください。
http://www.usaco.co.jp/products/ovid/rotm.html

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