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世界的な景気低迷を背景に,大規模研究図書館の予算削減に関する発表が相次いでいる。米国の名門大学では数千万円から億円相当の削減や,職員の一時解雇を含む事例も報告され,規模の大きさと深刻さがうかがい知れる。 このような状況は早期に予見され,2009年1月に国際図書館コンソーシアム連合(ICOLC)が,2月に 北米研究図書館協会(ARL)が相次いで現状に対する配慮を訴える要望書を出版機関に提出したことを本誌2月号(192号)でも紹介した。 出版機関による次年度価格の設定期を迎え,図書館の現状を踏まえた値上げ抑制政策が主要学協会を中心に発表されている。 ・米国化学会(ACS:American Chemical Society) ACSは2008年より,Value-Based Pricing イニシアチブを採用している。プリント版は,1枚の印刷用紙に2ページ分のコンテンツを表示するcondensed printフォーマットを部分的に導入することにより, 印刷コスト,紙の使用量,環境への影響を抑え,2010年度の価格を据え置きすること,また,9月30日までの早期継続契約に対するインセンティブとして,最大10%の割引を行うことを発表した。プリントからオンラインへの移行プログラムとして,DDP(deeply discounted print subscriptions)の現行方式を廃止し,2009年9月30日までにオンライン購読への切り替えを決定する既存購読機関に対しては,2009年度のDDP支払実績の30%に相当する額をクレジットすることも発表している*。オンライン版は単年度契約の場合は5%の値上げをするものの,ジャーナルおよびブックのアーカイブ製品双方を購読,または一部のオンラインブックを複数年購読する場合には,10-30%の割引を実施するACS Legacy Archive and ACS Symposium Series Discountプログラムも発表している。 *本ニュース刊行後の追加情報によると,DDP中止を連絡した場合,プリント版による送付中止手配が直ちに実行されます。 ・米国微生物学会(ASM:American Society for Microbiology) プリント版は4%の値上げ,オンライン版は価格据え置きとすることを発表している。 同時に発表された機能面の向上に関しては,オンラインジャーナルHPのリニューアル(2009年7月予定)や,HighWire掲載ジャーナルでの図・表検索の対象拡大,ProQuest社のIllustrataおよびSerials Solutions社のSummonへのインデックス対応(2009年末予定)などが挙げられている。 ・米国数学会(AMS :American Mathematical Society) プリント版・オンライン版のジャーナル,MathSciNetおよびMathematical Reviews データベースのすべての購読価格を2010年度の価格を据え置きする方針。 ・Annual Reviews 2010年価格を凍結する方針が示され,2010年の新刊3誌に関しても公正に設定したと発表。 ・OECD Publishing “オンラインオンリー”,“オンライン+アーカイブ(冊子版/CD/DVD)”などの形式を問わず,ジャーナルや統計データベースをはじめとする全てのOECD製品を対象に,2010年度の価格を2009年度から据え置きにすることを発表している。通貨対象は,ユーロ,アメリカドル,円で,英国の購読者に対してはポンド安を反映させて対応をとることが発表されている。 ・Oxford Journals オンライン版の主要なジャーナルの価格を据え置くことが発表された。なお,2010年度から“オンラインオンリー”価格を基軸に据え,それを100%とすると“プリントオンリー”の価格は110%,“プリント+オンライン”の価格は120%とする方針が示されている。 ・北米放射線学会(RSNA:Radiological Society of North America) RSNAを代表する「Radiology」と「RadioGraphics」の2つのジャーナルに関して,2010年度の購読価格の据え置きを決定した。なお,1980年から現在までのコンテンツに対する無料オンラインアクセスなどの特徴は継続して提供され,Radiologyに関してはポッドキャストや掲示板機能を盛り込んだ新たな ホームページが公開されている。 ・国際光工学会(SPIE:The International Society for Optical Engineering) SPIE Digital Libraryの2010年度機関購読の価格を10%値下げすること,また9月30日までに3年間契約を決定する機関に対しては,2012年まで継続して値下げ価格を適用することなどを発表した。ただし,すでに専用の値引き価格が適用されている場合や,プリント版の会議録やジャーナル,単一のジャーナルに対する個別契約などは値下げの対象にならない。 これらの他にも,2010年の価格政策に関する発表はあるが,トレンドとしては,例年よりも早期に価格を設定,プリントからオンラインへの移行促進のためにオンライン版の価格を据え置き,早期の発注に対するインセンティブがあげられる。 商業出版社からの価格情報はこれからだが,このような値上げ圧縮傾向にどの程度追従するのか注目される。 参考 ・本誌第192号トピックス「経済危機と学術出版」 https://www.usaco.co.jp/u_news/detail.html?itemid=76&dispmid=605 ・ACSプレス・リリース http://pubs.acs.org/page/press-release/pricing-2010a.html ・ASMプレス・リリース http://www.asm.org/Media/index.aspbid=64768 ・AMSニュース http://www.ams.org/news/home-news.html ・Annual Reviewsプレス・リリース http://www.annualreviews.org/press/2010pricingfreeze.aspx ・OECDプレス・リリース http://www.oecd.org/documentprint/0,3455,en_21571361_33915056_42809929_1_1_1_1,00.html ・Oxford Journalsニュース http://www.oxfordjournals.org/news/2009/05/27/2010_pricing_information.html ・UKSGニュース(RSNA2010年度価格について) http://www.ringgold.com/UKSG/si_pd.cfmpid=10&articleid=4476&issueno=192&xsection=Business ・SPIEプレス・リリース http://spie.org/x35204.xml
世界をリードする研究開発型の製薬企業であるファイザー社(Pfizer)は,低所得国の研究者を対象にOA出版コストの自動免除を支援するBioMed Central Open Access Waiver Fundをスタートさせました。 これにより,低所得国の研究者は論文投稿料を支払うことなくBioMed CentralのOA雑誌に研究論文を投稿・出版することができます。対象は世界銀行で低所得国または下位の中所得国に分類される90以上の国々です。 ・Science Business News http://www.eurekalert.org/pub_releases/2009-05/bc-pso050509.php ・BioMed Central Open Access Waiver Fund対象国 http://www.biomedcentral.com/info/authors/oawaiverfund/
弊社はEndNote X3(Ver.13) Windows版の国内での販売を開始しました。 これに伴い,従来のEndnote X2(Ver.12) Windowsの販売を終了しました。 2009年7月17日(金)よりEndNote X3 Windows版 の発送を開始する予定です。 ●EndNote X3 Windows の主な強化点 ・ 起動時間の大幅な短縮 ・ ライブラリの圧縮時にファイル添付の有無や対象レコードを選択 ・ グループ内を整理するための新たなグループ機能を追加 ・ 重複文献を左右に並べ詳細を比較・整理 ・ Find Full Text機能の接続先を指定 ・ 従来の文末に加え,セクション間にも参考文献リストを作成 ・ アメリカ化学会(ACS)などで採用されているグループ引用の投稿形式に対応 ・ Cite While You Write機能がOpen Office.org Writer 3にも対応 ・ EndNote Webアカウントを標準装備 ・ 3,700種類以上の投稿スタイルを搭載 ・ Windows 64ビット版に対応 ●動作環境(2009年6月現在) ・対応OS:Windows XP Service Pack 3(32ビット,64ビット)/ Vista(32ビット,64ビット) ・RAM容量:256MB以上 ・HD空容量:180MB以上 ・対応ワープロ:MS Word 2003 / 2007, OpenOffice.org Writer ・CPU:450MHz以上 ・CD-ROMドライブ(インストール時に必要) 価格・ご注文方法・無償アップグレードなどの詳細は,弊社ホームページを参照ください。なお,EndNote X3 Macintoshの販売日は未定ですが,情報を入手次第,弊社ホームページにてご案内します。 ・弊社EndNoteサイト http://www.usaco.co.jp/products/isi_rs/endnote.html
コアな学術ジャーナルのバックナンバーを電子的に提供するJSTORの検索機能に, 新たに“ファセット検索(faceted search)”が追加されます。 ファセット検索は,検索結果を絞込むためのさまざまな選択肢を提供します。例えば,カテゴリーごとに分類された検索結果数,イメージ画像付き文献の数,文献の種類,刊行年代などを一目で確認することができるほか,画面左部に組み込まれたファセットサイドバー(facets sidebar)により,検索結果を効率的に修正することができます。 正式リリースは7月初旬を予定しています。 詳細は弊社までお問い合わせください。 ・JSTORホームページ http://www.jstor.org/ ・弊社JSTORサイト http://www.usaco.co.jp/products/jstor/index.html ・JSTOR SANDBOX http://sandbox.jstor.org/ ・Facebook フォトアルバム-New Faceted Search Interface http://www.facebook.com/album.phpaid=99775&id=7220226626
書籍のオンライン利用をより簡単に,かつ効率的に行うためのコンテンツとテクノロジーを提供するebraryに新機能が追加されました。 【QuickView機能】 QuickViewに先月追加されたInfoTools機能がさらに強化されました。新たに追加された機能は以下のとおりです。 ・本文テキストのコピー ・ハイライト,注釈 ・外部リソースへのリンク −辞書検索,地図検索,所蔵検索,ニュース検索,web検索,画像検索など ※翻訳サイトへのハイパーリンクとテキスト読み上げ機能に関しては,従来通りebrary Plug-in Reader,ebrary Unity Readerをご活用ください。 【ブックシェルフ機能】 My Folderに保存した文献情報を,注釈・ハイライト・ハイパーリンク・ブックマークの情報とともにE-mailで他のebraryユーザに送信できるようになりました。利用者は受信メールのリンクからebraryのコンテンツにアクセスすることが可能です。 詳細は,弊社までお問い合わせください。 ・ebrary 機能アップに関するプレスリリース http://www.ebrary.com/corp/newspdf/ebrary_QV_InfoTools.pdf ・弊社ebraryサイト http://www.usaco.co.jp/products/ebrary/index.html ・本誌第195号記事「ebrary:機能アップのお知らせ」 https://www.usaco.co.jp/u_news/detail.html?itemid=79&dispmid=605
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