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USACO News:詳細

2010/02/28:第203号 OpenURLの品質向上を目指して−OpenURL Quality Metricsの発足−
 

OpenURLの品質向上を目指して−OpenURL Quality Metricsの発足−

米国情報標準化機構(NISO)は2009年12月8日,OpenURLに関する新たなプロジェクト“ OpenURL Quality Metrics”を承認した。OpenURLはNISOの規格(ANSI/NISO Z39.88-2004)として多くのベンダーに採用され,リンクリゾルバーを中心としたリンキング技術の基盤を担っているが,OpenURL Quality Metricsは実運用されているOpenURLの品質を評価・比較するための指標を考案することを目的にしたプロジェクトとして2年間の活動を予定している。

 PubMedやJDreamなどの文献データベースの検索結果から電子ジャーナルの該当論文へのリンクはフルテキストリンクと呼ばれ,OpenURLが活用されることが多い。 この場合,文献データベースは,該当論文のタイトル,著者,ISSN,巻号,開始ページなどのメタデータをOpenURLの記述ルールに沿ってURLの中に埋め込みリンクリゾルバーに送信する。リンクリゾルバーは送られた文献の情報と,予め搭載されている知識ベース(knowledge base)を照らし合わせ,適切なリンク先を利用者に提示する。
 文献データベースなどのリンク元(リンクソース)がOpenURLとして送信するメタデータの内容やその構文化(コード化)の適切さが,リンクリゾルバーが有効なナビゲーションを実現するための鍵になっている。

 このイニシアティブを提案したコーネル大学図書館のAdam Chandlerはこの部分に着目し,成功率の高いリンクを創るためにはOpenURLにどのような構成要素が必要なのか,文献情報のコード化における問題点の調査を先行して行っていた。この研究はアンドリュー・メロン財団の助成を受け,成果は最終報告書(L’Anne philologique online OpenURL Quality Investigation)として2009年2月に公開されている。

 OpenURL Quality Metricsによる指標が実現すれば,ベンダーに対するOpenURL送信方法の改善を要望する場面で,より透明性の高いエビデンスに基づいた主張が可能となる。なお,NISOは,この他に,英国逐次刊行物グループ(UKSG)と共同でKBARTと呼ばれるプロジェクトを進行させており第一期のレポートを2010年1月にリリースした。KBARTでは,リンクリゾルバー内のknowledge baseのデータ向上を目的としている点が特徴であるが,この2つのプロジェクトが関係サプライチェーンレベルでリンクナビゲーションの発展に貢献することを期待したい。


・NISO OpenURL Quality Metrics
http://www.niso.org/workrooms/openurlquality
http://vichummert.org/oq/
・OpenURL Quality blog
http://openurlquality.blogspot.com/
・L’Anne philologique online OpenURL Quality Investigation最終報告書
http://metadata.library.cornell.edu/oq/files/200902%20lannee-mellonreport-openurlquality-final.pdf
・本誌第181号トピックス:knowledge baseをめぐる動向
https://www.usaco.co.jp/u_news/detail.html?itemid=64&dispmid=605
・本誌2010年新春号記事:UKSG / NISO.:KBARTガイドラインをリリース
https://www.usaco.co.jp/u_news/detail.html?itemid=87&dispmid=605

Cell Press:新たな論文フォーマットArticle of the Futureを発表

科学・技術・医学(STM)分野の学術出版および情報サービス大手のエルゼビア(Elsevier)は,2010年1月7日,同社の主要コレクションであるCell Pressジャーナルに掲載されるすべての研究論文の電子版を,新たな“Article of the Future”フォーマットで刊行することを発表しました。

 Article of the Futureは,研究論文を構成する伝統的なセクションを構造化するための新たな手法を反映し,冊子体をそのまま電子化したような一次的フォーマットから,統合的かつ外部へのリンク機能を有するナビゲーションスキームに移行しています。論文のセクション(序論・結果・図表・考察など)をタブ化して提供する機能はArticle of the Futureの特徴のひとつです。これにより,専門分野の研究者は特定の実験に関する詳細情報に容易にアクセスできるようになり,一方で,一般読者は詳細な専門情報に圧倒されることなく論文の主旨を理解できるようになりました。図式的なアブストラクトや重要箇所のハイライトなども追加されています。

 エルゼビアは,Article of the Futureのリリースを祝して,また,多くの利用者からのフィードバックを収集するために,Cell Vol.140 No.1 4(2010)を無料公開しています。今回のCell Pressジャーナルでの実績を踏まえ,今後は,同社が提供する世界最大のSTMデータベースScienceDirectに収録される約2,000ジャーナルへの展開を予定しています。

・Cell Press: Cell Launches Article of the Future format
http://beta.cell.com/index.php/2010/01/cell-launches-article-of-the-future-format
・エルゼビア プレスリリース
http://www.elsevier.com/wps/find/authored_newsitem.cws_home/companynews05_01403
・Article of the Futureは下記よりお試し頂けます
http://www.cell.com/abstract/S0092-8674(09)01439-1


ebrary:新機能DASH!(ベータ版)をリリース

書籍等のデジタルコンテンツとそれらを簡単かつ効率的に利用するためのテクノロジーを提供するebraryは,同社のAcadecmic Completeコレクション購読機関を対象に,新機能DASH!のベータ版をリリースしました。

 DASH!(Data Sharing, Fast)は,機関独自のPDFファイルを,各端末からebraryプラットフォームに容易にアップロード・統合・共有することのできるツールです。従来,機関独自のコンテンツをebraryプラットフォームに追加するには,対象となるPDFファイルをebrary社に提出後,技術者による作業(有償)が必要でしたが,DASH!を利用することで,図書館の管理者が容易にこれらの作業を行うことができるようになります。対応するメタデータと共にアップロードされたPDFファイルは,新たなコレクションとして,Academic Completeをはじめとするebraryのコレクションやサービスにシームレスに統合されます。これら新コレクションは,InfoTools,ハイライト,注釈,複数の検索機能,個人用ブックシェルフなど,ebraryの全機能を利用することが可能です。

Academic Completeコレクションの購読機関は,DASH!ベータ版を無料で利用することが可能です。

Academic Complete:ビジネス分野,医学・薬学分野,工学分野など計17分野に渡るコレクションを包括したパッケージで,47,000タイトル以上が含まれる年間購読型のコレクション。

詳細は弊社までお問い合わせください。

・ebraryプレスリリース
http://www.ebrary.com/corp/newspdf/ebrary_DASH.pdf
・弊社ebrary紹介ページ
http://www.usaco.co.jp/products/ebrary/
・ebrary DASH!紹介ページ
http://www.ebrary.com/corp/techDASH.jsp

JSTOR:オークション・カタログ(ベータ版)無料公開のお知らせ

コアな学術ジャーナルのバックナンバーを初号から電子的に提供するプロジェクトJSTORは,18世紀から20世紀の貴重な芸術作品のオークション・カタログ約1,500点を収録(2009/12/2時点)する“Auction Catalogs Beta”を,2010年4月末まで無料公開しています。

 Auction Catalogsは,アンドリュー・メロン財団(Andrew W. Mellon Foundation)による助成のもと,JSTOR,フリック・コレクション(Frick Collection),メトロポリタン美術館(Metropolitan Museum of Art)が協力し,オークション・カタログを長期的に保存するための手段究明や,その学術的な使用のためのアクセス向上を目指すプロジェクトです。

 オークション・カタログは美術研究において,作品がいつ,どの所蔵者を経て,何年間どこに収蔵されていたかなどの来歴情報を調査する際に有用となります。これら独特な情報の利便性を最大限に高めるため,JSTORは,落札者や価格情報などが記録された手書き注釈をデジタル化するツールや,利用者による情報の追加・編集を可能とするツールを新たに開発しました。

 現在公開されているベータ版の利用にはユーザー登録(無料)が必要です。正式版のリリース時期は現時点では未定ですが,JSTORは,ベータ版利用者からの意見や収録コンテンツに関する追加情報を収集,分析し今後の開発に反映させていく方針です。

 JSTORの詳細については弊社までお問い合わせください。

・Auction Catalogs Betaサイト
http://auctioncatalogs.jstor.org
・JSTORホームページ
http://www.jstor.org/
・弊社JSTORサイト
http://www.usaco.co.jp/products/jstor/index.html

Portico:信頼できるデジタルリポジトリとしてCRLより評価を受ける

電子的に発行された学術コンテンツをアーカイブし,研究者や学生にその永続的なアクセスを保証するサービスPorticoが,大学や研究図書館の国際コンソーシアムである研究図書館センター(CRL:The Center for Research Libraries)より,「信頼できるデジタルリポジトリ(trustworthy digital repository)」として評価を受けました。

 2009年4月から10月にかけてCRLが実施したPortico監査は,Porticoサイトへのアクセスやアーカイブコンテンツのサンプリング,CRLやCRL認証諮問委員会(CRL Certification Advisory Panel)によって収集された情報,Portico作成の資料などの審査が含まれています。分析には,デジタルリポジトリの信頼性指標であるTRAC:Trustworthy Repositories Audit and Certification Checklistをはじめとする複数の評価指標が用いられ,結果としてPorticoは,組織基盤(Organizational Infrastructure),デジタルオブジェクト管理(Digital Object Management),情報・技術基盤・安全性(Technologies, Technical Infrastructure, Security)という3つの主要指標において高い評価を受けました。

 電子コンテンツの長期保存には,継続的な細心の注意と,サービスの組織的な枠組み・実践・過程の課題に対する適切さやコミュニティへの透明さを保証する配慮が必要とされます。Porticoは現時点で,第三者からの監査を経験した初の電子保存サービスであり,認定を受けた唯一のサービスとなっています。

・CRLのPorticoレポート
http://www.crl.edu/archiving-preservation/digital-archives/certification-and-assessment-digital-repositories/portico
・Porticoホームページ
http://www.portico.org/


Ovid:旧利用統計システムOvid Web Gateway Stats 終息のご案内

Ovid Technologiesは,同社の旧プラットフォーム“Ovid Web Gateway”の利用統計システムである
Ovid Web Gateway Statsの提供を,2010年2月18日をもって終息しました。

 Ovidは,2008年2月に現在の新プラットフォーム“OvidSP”への切り替えを完了してからも,利用統計に関しては新旧両方のシステムを並行運用してきました。今回のOvid Web Gateway Statsの終息により,今後はOvidSPの利用統計システムであるOvidSP WebStatsのみの提供となります。

 主な注意点と相違点は以下のとおりです。

●OvidSP WebStatsの利用には,専用のLogin NameとPasswordが必要です。
Login NameとPasswordは,下記URLから取得することができます。
http://www.ovid.com/site/trial/webstats_osp/index.jsp

●OvidSP WebStatsは最新のCOUNTER リリース3に準拠し,2007年10月以降の利用統計を提供します (2007年9月以前の利用統計は入手できません)。

●新旧のシステムで準拠しているCOUNTERのリリースが異なるため,同じ期間,同一条件下の利用統計でも,取得できる情報が異なる場合があります。

●OvidSP WebStatsは月単位で更新されるため,当月分の利用統計は翌月にならないと取得できません。(Ovid Web Gateway Statsは週単位で更新されていました。)

専用Login NameとPasswordの入手方法などの詳細は,Ovid Technologies Japan Officのサイトをご参照ください。

・Ovid Technologies Japan Officeによるアナウンス
http://www.ovid.jp/site/images/top/OvidSP_Stats_with_WebSTATS_5Feb2010R2.pdf
・Ovid Technologies Japan Office
http://www.ovid.jp/site/index.html
・弊社Ovid紹介ページ
http://www.usaco.co.jp/products/ovid/index.html

OvidSPバージョンアップ(Version3.0)のご案内

Ovid Technologiesが提供するプラットフォームOvidSP・Nursing@Ovidのバージョンアップ(Version 3.0)が2010年3月に予定されています。今回のバージョンアップでは,個々の利用者のための作業スペース“My Workspace”の搭載も発表されています。主な新機能や改良点をご案内します。

●My Workspace
 利用者個人の研究資料をOvidSP内で管理できる専用作業スペースです。記事,検索方式,画像など様々な研究資料を整理することができます。

●検索結果 管理機能の向上
 2009年11月にBrowse Journalsに導入された,新たな検索フィルタや検索結果管理の“Widget”化アプローチ*がメインの検索ページに導入されます。その他,エクスポートや印刷時にスタイル(Chicago,MLAなど)を選択する新オプションなども追加されます。
 *Widget:各ツールを移動したり折りたたみ可能にする機能

●Ovid Tool Bar
 OvidSPやNursing@Ovid以外で作業している時も,研究資料をMy Workplaceに保存することができるツールバー。

●インターフェースの強化
 新しくデザインされたメイン検索ページ,ドラッグ・アンド・ドロップによるカスタマイズ機能,機能やページの統合,その他の新しいナビゲーションツールにより,柔軟性の高い,より直観的なプラットフォームを提供します。

 OvidSP・Nursing@Ovidの最新情報については,Ovid Technologies Japan Officeのサイトをご覧ください。

・Ovid Technologies Japan Office(日本語)
http://www.ovid.jp/site/index.html
・Ovid Resource Center(最新情報が英語でUpされます)
http://www.ovid.com/site/resources/index.jsp
・弊社Ovid紹介ページ
http://www.usaco.co.jp/products/ovid/index.html
・本誌第187号記事:Ovid:OvidSP- Mid-Summer version upを完了
https://www.usaco.co.jp/u_news/detail.html?itemid=70&dispmid=605

トムソン・ロイター:Web of Knowledge日本語インターフェイスをリリース

2010年2月22日,トムソン・ロイターは同社が提供する学術文献・引用検索データベース
“Web of Science”と文献管理・論文執筆支援ツール“EndNote Web”を含む,“Web of KnowledgeSM”プラットフォームの日本語インターフェイスをリリースしました。

 従来の英語と中国語に加え,第三の言語環境となる日本語インターフェイスは,利用者のPCが日本語環境の場合には自動的に起動します。(デフォルトは日本語・英語・中国語に設定可能)。

 また,トムソン・ロイターは2010年1月より,オンライン・投稿・査読システム“ScholarOne Manuscripts”の日本語インターフェイス提供をすでに開始しており,今回のリリースとあわせて学術研究の先行調査から出版までの一連のワークフローソリューションの日本語化が完成したとしています。

※Journal Citation Reports,Essential Science IndicatorsSM,ResearcherIDについては今回のインターフェイス日本語化に含まれていません。

詳細は以下のURLを参照いただくか,弊社までお問い合わせください。

・トムソン・ロイター プレス・リリース
http://www.thomsonscientific.jp/news/press/pr_201002/Web-of-Knowledge-in-Japanese.shtml
・Web of Science製品サイト
http://www.thomsonscientific.jp/products/wos/
・EndNote Web製品サイト
http://www.thomsonscientific.jp/products/enw/
・Web of Knowledge製品サイト
http://www.thomsonscientific.jp/products/wok/
・ScholarOne製品サイト
http://www.kyorin.co.jp/modules/scholarone/
・弊社トムソン・ロイター製品紹介サイト
http://www.usaco.co.jp/products/isi/index.html

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