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USACO News:詳細

2010/08/31:第209号 NIHパブリックアクセス方針〜図書館員からの報告〜
 

NIHパブリックアクセス方針〜図書館員からの報告~

アメリカ国立衛生研究所(NIH)のパブリックアクセス方針は,NIHの助成を受けたすべての研究者に対して,査読付き論文の最終原稿を刊行後12か月以内にPubMed Central(PMC)に登録することを求めるものである。

2008年4月の義務化を境に,登録率はそれまで(2005年から2007年まで)の19%から,2009年度にはNIHの助成を受け刊行された推定8万8,000本の論文のうち,およそ70%を占めるようになった。PMCとパートナー契約を結ぶジャーナル数も2007年:300,2009年:650,2010年:922(8月13日時点)と推移しており,2009年度に提出された論文の40%は出版者からのものという。

 研究者の認識について,カリフォルニア大学ロサンゼルス校(UCLA:University of California at Los Angeles)がファカルティーと職員を対象に実施した調査では, NIHパブリックアクセス方針の目的に関する設問の正答率は54.7%(35/64名),助成機関に関する設問では50.8%(33/65名),論文識別子PMCID:PubMed Central reference number*については56.9%(37/65名)と報告され57%(37名)の回答者が大学での追加トレーニングが必要だと答えた。同大学サンフランシスコ校(UCSF:University of California, San Francisco)が7,500人を対象に200人から回答を得た調査では,84%の回答者が方針を知っている、または良く知っていると答えたが,著者によるPMCへの通常の登録と出版者が提供する著者支払型Open AccessでのPMC登録サービスを混同していると思われる回答が多かったことが記されている。

 NIHは,登録プロセスの簡素化,ヘルプデスクの開設,トレーニング教材の提供,オンラインツールの機能向上,新システム開発などで,方針の一層の徹底を狙っている。今回紹介したカリフォルニア大学の調査結果は規模的にも限定的に受け取る必要があるが,研究者の理解度向上が必要な状況は共通性の高い傾向と思われる。2件の報告とも図書館員によるものだが,UCSFの報告では図書館が研究コミュニティーに果たす役割は大きく,今後も継続した図書館の関与が重要だと締め括られている。

*PMCID:PMCに収載されるフルテキスト論文に与えられる識別番号。NIHへの申請書,企画書,報告書などにおいて助成対象論文を引用する際にその記載が求められる。

・NIHサイト:NIHパブリックアクセス方針について
http://publicaccess.nih.gov/
・UCLAでの調査(2010年3月11日発表。2009年11月30日〜12月15日実施。対象335名,回答69名)
“Measuring Capacity and Effectiveness of NIH Public Access Policy Programming as a Model for Open Access ”
https://repository.unm.edu/dspace/bitstream/1928/11002/1/Bardyn_EBSCC2010BardynPaperSlides%20corrected.pdf
・UCSFでの調査(2009年春実施)
Journal of the Medical Library Association vol.98 no.3 July 2010
BRIEF COMMUNICATIONS “Campus perspective on the National Institutes of Health public access policy: University of California, San Francisco, library experience”
http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC2901012/pdf/mlab-98-03-256.pdf
・米国保健社会福祉省Assistant Secretary for Legislationサイト
http://www.hhs.gov/asl/testify/2010/07/t20100729c.html
・第6回 SPARC Japan セミナー2009「NIH Public Access Policyとは何か」
http://www.nii.ac.jp/sparc/event/2009/20091111.html


2011年度:外国雑誌価格値上がり動向

2011年度の外国雑誌予約シーズンを前に,現時点で判明している主要出版機関別の値上がり状況(外貨ベース)を報告します。タイトル選定,予算計画の参考資料としてご利用ください。

◇American Association for the Advancement of Science
<Science Online>・・・4%
◇American Medical Association (※1) ・・・43%
◆American Journal of Roentgenology ・・・5%
◆Endocrine Society (※2) 
Tier 1〜3 ・・・3%
Tier 4 ・・・24%
◇Informa Healthcare ・・・9%
◇Karger ・・・5%
◇Mary Ann Liebert ・・・15%
◆Proceedings of the National Academy of Sciences ・・・値上がり無し
◇Radiological Society of North America ・・・4%
◇Society for General Microbiology ・・・6%
◇Wiley ・・・6%

(※1) 大幅な値上がりの主な理由は,過去5年間値上率をおさえてきたこと(2010年は据え置き),またプラットフォームの変更(H2Oへ移管)を予定し
ているためです。
(※2) Tier 4はマルチサイト価格のため,大幅な値上がりになります。

 上記以外の出版者の値上がり状況については,情報を入手次第ご案内させて
頂きます。

【注意】
 ◆印は,弊社の総代理店誌です。
 タイトルを複数提供する出版機関については,値上がり率の平均値となります。あくまで目安としてご参照ください。


JSTOR:新プラットフォームの提供開始

コアな学術ジャーナルのバックナンバーを電子的に提供するJSTORは,2011年から提供されるCurrent Scholarship Program(CSP)に先立ち,2010年8月22日に新しいプラットフォームの提供を開始しました。

新プラットフォームの主な追加機能は下記の通りです。

・新しいインターフェース
・検索ボックスの追加機能
・MyJSTOR での検索式の保存
・CSP提供タイトルでは,最新号をトップに表示
・外部へのリンクを黄色の矢印アイコンで表示
・テキスト閲覧画面にて該当巻号,ジャーナル,全収録ジャーナルの再検索フィールドを追加
・PDFファイルのサイズ表示
・ヘルプページにおいてJSTORについての情報をキーワード検索
・利用統計をMyJSTOR内で取得 (管理者アカウントのみ)

詳細については弊社までお問い合せください。

・弊社JSTORサイト
http://www.usaco.co.jp/products/jstor/index.html
・JSTORホームページ
http://www.jstor.org/
・本誌第198号記事「JSTOR:カレントタイトル収録のお知らせ」
https://www.usaco.co.jp/u_news/detail.html?itemid=82&dispmid=605


Springer:SpringerLink.comの新しいインターフェースをリリース

ベータ版として並行運用されていたSpringerLinkの新しいインターフェースが8月8日に正式リリースされました。

 新インターフェースの特長は以下のとおりです。

・ジャーナル論文および電子ブックチャプターに関連文献へのリンクを追加
・電子ブックチャプターのPDFプレビュー閲覧機能
・ブラウズ・検索機能の強化 (巻 / 号 / ページの検索が可能に)
・オンライン・ファーストおよびオープンアクセス論文のフィルタリング機能

 リンクや認証方法に変更はなく,今までと同様に利用できます。

・SpringerLink
http://www.springerlink.com
・SpringerLink管理者用マニュアル
http://www.springer.jp/librarian/support/index.php


Online Information Asia-Pacific開催のお知らせ

30年以上にわたりロンドンで開催されている国際会議“Online Information”のアジア太平洋版第一回目の会議“Online Information Asia-Pacific”が下記の要領で開催されます。

 期間:2011年3月23日(水)から24日(木)まで
 開催地:香港 Convention & Exhibition Centre

 この国際会議は,“ビジネスインフォメーション,STMインフォメーション,eパブリッシングソリューションズ,図書館システム”をテーマに開催され, アジア太平洋地域から図書館情報学の専門家や関係者の参加が見込まれています。

・Online Information Asia-Pacificホームページ
http://www.online-information.asia/onlineasia2011/

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