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学術図書館における選書プロセスでは,専門分野に精通した図書館員の知識や,既存コレクションの利用実績を基にした利用者ニーズの分析などが重要な要素とされてきた。しかしながら米国では,選ばれた本の半分近くが利用者に一度も利用されていないという試算が報告されており,デンバー大学(University of Denver)では,2000年から2004年の間に購入された12万冊以上のうち40%が一度も利用されていなかったという報告もあった。 そうした中,利用者主導の選書方法として近年急速に利用が増えているのが,Patron-Driven Acquisition(PDA)と呼ばれる電子書籍の契約モデルである。PDAは,ベンダーが機関に電子書籍へのアクセスを提供し,機関は,利用者によって一定の利用があったタイトルのみを購入する契約モデルである。PDAのメリットとしては,実際に使用されたタイトルのみを発注できること,利用者に多くのコンテンツを提示できること,書籍購入費用を抑えることができること,選書にかける図書館員の負担や時間を削減できることなどが挙げられる。現在複数の出版者が利用者主導型の選書モデルを提案しており,電子書籍ベンダー大手の米ebrary社も,PDAのパイロットプログラムを2009年9月から一年間実施し,その評価を踏まえ2010年10月より新しいPDAサービスを提供している。 米ウェルズリー・カレッジ(Wellesley College)の収集部門のマネージャーDeborah Lenares氏とPublishers Communication Group社のEmilie Delquie氏が2010年3月に行った調査では,コンタクトした250機関の図書館のうち,32機関が現在PDAを実施,42機関が2010年中にPDAの具体的な実施計画があり,90機関が3年以内にPDAの実施計画があるという集計結果が報告されている。現在PDAを実施している32機関のうち47%が過去6ヶ月の間にPDAを開始したと回答していることから,近年のPDAの急速な拡がりが伺える。また,実施機関のうち88%がこの選書方法に満足しているという回答もあった。 電子書籍に対する認識の高まり,予算の都合,所蔵スペースの問題,出版者による大規模な電子化プログラムによる電子書籍の発展などから,図書館における電子書籍の導入は今後ますます進むと予想されている。米国の大学では紙媒体の予算が削減される傾向があり,例えばコーネル大学(Cornell University)では紙媒体の予算を8%削減、スタンフォード大学(Stanford University)では7-10%の削減を予定している。図書館では,これから紙媒体と電子のハイブリッドな環境が長く続くことが予想され,図書館員による選書の知識と分析に加え,利用者主導の選書方法が評価されてきている。 ・Lynn Sutton氏の報告ALA(American Library Association) http://www.ala.org/ala/mgrps/divs/acrl/events/pdf/lsutton.PDF(accessed 2010-11-30). ・デンバー大学の書籍利用状況について ResourceShelfの記事 http://web.resourceshelf.com/go/resourceblog/61628,(accessed 2010-11-30). ・ebrary ホームページ http://www.ebrary.com, (accessed 2010-11-30). ・ebrary New Patron Driven Acquisitionプレスリリース http://www.ebrary.com/corp/newspdf/ebrary_PDA_launch.pdf, (accessed 2010-11-30). ・本誌第211号記事「ebrary:Patron Driven Acquisition(PDA)サービス開始」 https://www.usaco.co.jp/u_news/detail.html?itemid=96&dispmid=605 ・Publishers Communication Groupの報告 http://www.stm-assoc.org/2010_04_27_Spring_Conference_Lenares_Patron_Driven_Acquisition.pdf, (accessed 2010-11-30). ・Otto Harrassowitz社 電子書籍,図書館,ヴェンダーについての2010年報告書 http://www.harrassowitz.de/documents/HARRASSOWITZ_Natural_SelectionEBooks_Libraries_and_Vendors.pdf(accessed 2010-11-30).
Beilstein-Institutは,オープンアクセスジャーナル“The Beilstein Journal of Nanotechnology”をリリースしました。このジャーナルは,ナノサイエンスとナノテクノロジー分野のピアレビューされたオリジナル論文が対象となり,化学,物理学,生物学,材料工学の基礎研究と応用研究の論文が収録されます。編集長には,カールスルーエ工科大学の教授Thomas Schimmel氏が就任しています。 Beilstein-Institute:The Beilstein Journal of Nanotechnology http://www.beilstein-journals.org/bjnano/home/home.htm
Wileyは,合成化学分野で優れた業績のある研究者に贈呈される化学賞「名古屋シルバーメダル」のこれまでの発展と受賞者の活躍を記念し,The Chemical Record誌より受賞者特集号を発行し,電子版を無料で公開しています。 ・The Chemical Record誌「名古屋シルバーメダル特集号」広報ページ http://www.wiley.co.jp/journals/ISI_TCR.HTML ・Wiley-Japanホームページ http://www.wiley.co.jp/
Wiley-Blackwellが提供するプラットフォーム“Wiley Online Library”に,日本語音声付きのオンラインチュートリアルが公開されました。 オンラインチュートリアルは下記サイトからご利用いただけます。 ・オンラインチュートリアル利用者向け http://www.wiley.co.jp/electronic/user.html ・オンラインチュートリアル管理者向け http://www.wiley.co.jp/electronic/admin.html ・Wiley-Japanホームページ http://www.wiley.co.jp/
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