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ユサコニュース詳細

USACO News:詳細

2010/12/28:第213号 オープンアクセスと論文投稿著者への費用負担
 

オープンアクセスと論文投稿著者への費用負担

 英国情報システム合同委員会(JISC)が2009年に発表したレポートでは,オープンアクセス(OA)出版にかかる一論文あたりの平均費用を1,524ポンドと試算している(eオンリーの場合)。多くの出版者は,この費用を論文の掲載が決まった著者に負担してもらうモデルを採用している。実例をみると,BioMed Centralは$660〜2,415,PLoSは$1,350〜2,900を課している。JISCやドイツ研究振興協会(DFG)などと協力関係にあるKnowledge Exchangeは,2010年12月,論文の掲載可否にかかわらず全ての投稿著者に費用負担を求めた場合の効果に関する報告書を発表した。
 
 掲載が決まった著者のみが費用を負担する雑誌では,掲載論文のほか不掲載論文にも査読等の費用がかかるため投稿論文数が多いほど出版費用が高くなり,掲載論文著者が支払う費用も高くなる傾向がある。報告書では,全ての投稿著者が支払う費用を,年間投稿論文数4,000本でリジェクト率90%のOA誌に$150,1,000本でリジェクト率72%のOA誌に$150,300本でリジェクト率54%のOA誌に$100という3つの条件を想定して,費用負担を求めた場合に,掲載論文著者が支払う費用がどの程度削減されるかについて試算がなされた。その結果,4,000本の雑誌で$2,500を$1,150に,1,000本の雑誌で$2,000を$1,550に,300本の雑誌で$1,500を$1,400に削減でき,論文のリジェクト率が70%以上の場合には掲載論文著者の負担を減らすことができるとしている。報告書によると,経営・経済・金融系を中心とする複数の学術ジャーナルでは,全投稿著者に課金するモデルが既に採用されているものが比較的多く,$50〜200の間で設定されている。OA誌では,Wiley社のHereditas,Polish Physiological SocietyのJ Physiology Pharmacology,JMIRのJournal of Medical Internet Researchなどが挙げられる。

 出版者側からは,掲載論文著者にだけ課金が必要となる雑誌との競合,論文投稿数の減少,モデル移行にかかる費用,著者への負担などへの不安が挙げられ,現時点では利点よりも潜在的なリスクの方が高いと認識する回答も目立った。報告書では,資金提供者やOA出版基金らの明確な方針決定,機関レベルでの請求・収集モデルの確立,著者に対するアプローチ,パイロットプログラムの立ち上げなどが今後の展開として提言されている。                                                        ※$=USD

・Knowledge Exchangeウェブページ「Report on Submission fees」
http://www.knowledge-exchange.info/Default.aspxID=413, (accessed 2010-12-28).
・JISCレポート「Economic implications of alternative scholarly publishing models: Exploring the costs and benefits」
http://ie-repository.jisc.ac.uk/278/3/EI-ASPM_Report.pdf, (accessed 2010-12-28).
・BioMed Centrals article-processing charges
http://www.biomedcentral.com/info/authors/apcfaq, (accessed 2010-12-28).
・PLoS Journals Publication Fees
http://www.plos.org/journals/pubfees.php, (accessed 2010-12-28).


Portico:CrossRefのメタデータを保存

 2010年11月,PorticoとCrossRefはCrossRefの書誌情報とレファレンスのメタデータをPorticoのアーカイブに保存することで原則合意しました。CrossRefは,出版社国際リンキング連盟(PILA:Publishers International Linking Association,Inc.)が運営するサービスで,3237の出版者より,学術論文,会議録,書籍,テクニカルサポート等を含む,4,400万件のリンクサービスを提供しています。今回の合意で,CrossRef自体が機能しなくなった際にも,データを長期的に安定して保存することができます。

CrossRefプレスリリース
http://www.crossref.org/01company/pr/news111610.html

John Wiley & Sons,Inc.:杏林舎とScholarOne Manuscriptsのサポートで提携

 John Wiley & Sons,Inc.は,同社が発行する日本の学会誌とその学会パートナーを支援するため,オンライン投稿・査読システム“ScholarOne Manuscripts”をフルサポートする株式会社杏林舎と業務提携を締結したことを発表しました。ScholarOne Manuscriptsは,日本語インターフェイスを兼備するウェブベースのアプリケーションで,論文の投稿,ピアレビュー,出版のプロセスを効率化するトムソン・ロイター社のシステムです。Wiley-Blackwellは現在,自然科学や社会科学の分野で日本の学会誌51誌を出版しており,その学会パートナーに対しScholarOne Manuscriptsを利用することを推奨しています。

John Wiley & Sonsプレスリリース
http://as.wiley.com/WileyCDA/PressRelease/pressReleaseId-87457.html
株式会社杏林舎プレスリリース
http://www.kyorin.co.jp/modules/press_release/index.phppage=article&storyid=3

Thieme Publishing Group:電子ブックThieme Clinical Collectionをリリース

 Thieme Publishing Groupは,新しい電子ブックコレクションThieme Clinical Collection(TCC)をリリースします。TCCは,フルカラーイラストレーション,臨床写真,高解像度放射線画像などを豊富に収録しており,臨床医が日々直面する多様な問題の解決に役立つレファレンスです。

【提供分野】
脳神経外科学(アメリカ脳神経外科学会との共同出版タイトルも収録),整形外科学,放射線医学,
耳鼻咽喉科学,歯科学,聴覚学,眼科学,内科学 ほか多数

【提供パッケージ】
・パッケージ#1 2000年から2003年刊行タイトル:65タイトル
・パッケージ#2 2004年から2006年刊行タイトル:87タイトル
・パッケージ#3 2007年から2009年刊行タイトル:111タイトル

【価格体系】
・一括買い取り型(永続的アクセス権)
・SMALL,MEDIUM,LARGEの3タイプ(FTEにより決定)
・複数パッケージ購入時の割引あり

詳細については弊社までお問い合わせください。

・Thieme-Connect E-Booksサイト
http://www.thieme.de/connect/en/product-type/e-books.html
・弊社Thiemeサイト
http://www.usaco.co.jp/products/thieme/index.html

RSC:創刊誌をフリーアクセスで提供

英国化学会(RSC:Royal Society of Chemistry)は,創刊誌を2年間フリーアクセスで提供しています。IPアドレスを登録済みの場合は,手続なしでフリーアクセスをご利用いただけます。

【2011年12月31日までフリーアクセスが提供されるタイトル】
・Polymer Chemistry
・MedChemCom
・Chemical Science
・Food & Function

【2012年12月31日までフリーアクセスが提供されるタイトル】
・Catalysis & Catalysed Reactions (2011年夏に創刊予定)

【2010年12月31日でフリーアクセスを終了するタイトル】
・Analytical Methods
・Integrative Biology
・Metallomics
・Nanoscale

IPアドレスを未登録の場合は,弊社までご連絡ください。

ユサコ年末年始休業日のお知らせ

 弊社の年末年始休業日について以下の通りお知らせいたします。

  2010年12月29日(水) 〜 2011年 1月 4日(火) 休業

  ※12月28日(火)は14時まで営業

お客様にはご迷惑をおかけしますが,予めご了承くださいますよう宜しくお願いいたします。

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