抄訳
本研究では、肝生検により診断された222例の代謝機能障害関連脂肪性肝疾患患者を対象に、酵素法で測定した血清レムナントコレステロール(Rem-C)値と肝組織所見との関連を検討した。その結果、Rem-C値は肝脂肪蓄積、炎症、風船様変性など、NAFLD activity score(NAS)の構成要素と有意に関連し、特にNASが5以上の活動性の高い群で有意に高値を示した。性別別解析では、男性においてこの関連が明瞭であった。一方、Rem-C値と線維化ステージとの間には有意な関連は認められず、また計算式によって求めたRem-C値では、これらの組織所見との関連はみられなかった。以上より、計算値よりも実測されたRem-C値の方が代謝機能障害関連脂肪性肝疾患の病態をより的確に反映しており、特に男性では、血清Rem-C値の上昇が活動性の高い代謝機能障害関連脂肪性肝炎の存在を示唆する指標となる可能性があると考えられる。