抄訳
げっ歯類の社会行動研究では、動物が自由に動き回る環境下で、より自然な相互作用を評価する必要性が高まっている。そのためには、複数個体の姿勢を正確に追跡することが重要であるが、現在のマーカーレス多個体姿勢追跡ツールでは、遮蔽や密集場面、特に個体同士を視覚的に区別しにくい条件で精度が低下しやすい。本研究で提示する仮想マーカー追跡(vmTracking)は、仮想マーカーを用いてフレーム間の個体識別を維持し、困難な条件下での多個体姿勢追跡精度を向上させる手法である。本手法は標準的な追跡ワークフローに組み込むことができ、既存のマーカーレス多個体動画データにも適用可能である。本稿では仮想マーカーの割り当て方法と、ラベル付けされた動画における動物追跡の手順を示す。vmTrackingにより得られる高精度な多個体追跡データは、自由行動下で生じる社会的相互作用行動を、より信頼性高く定量解析することを可能にする。