抄訳
本研究では、様々な動物と単細胞生物における、多種多様な細胞の遺伝子発現プロファイルを比較する手法を開発することで、血液細胞の起源と多様化の歴史を7億年前の単細胞生物時代の祖先にまで遡って明らかにしました。①まず、動物の祖先は、まだ単細胞生物であった頃の遺伝子プログラムを用いて、マクロファージ様の血液細胞として誕生させました。その後、動物進化の過程で、②寄生虫感染症に対抗してマクロファージからマスト細胞が分岐し、③そのマスト細胞から原始的なT細胞が、④マクロファージから原始的なB細胞が、⑤再びマスト細胞から赤血球が、それぞれ分岐していった事がわかりました。この7億年間の進化の記憶は、造血・分化過程として、現在生きる我々の体内にも刻まれていることもわかりました。私達の体内を巡る血液細胞は、単細胞生物時代の祖先が私達に遺したレガシーをうまく拡張・発展させたものと言えます。