抄訳
結核菌の類縁菌である非結核性抗酸菌(NTM)に起因する肺疾患(NTM-PD)が近年増加しており、世界的に問題となっている。NTMの一種である Mycobacterium avium subsp. hominissuis (MAH)は、NTM-PDの主要な原因菌である。MAHは結核菌と同様に複数の遺伝系統が存在し、系統ごとに特有の地理的分布と宿主適応性を示す。本研究では、日本の患者環境由来のMAH 3株を対象にゲノム解析を実施した。その結果、これら3株は日本および韓国の患者由来株で多く見られる東アジア(EA)系統に属することが明らかとなった。次に、公開済みMAH 23株の全ゲノム配列を含めたパンゲノム解析を実施し、異なるMAH系統間で保存されている3,313個のコア遺伝子を同定した。さらに、トランスポゾンシーケンシングによって3株の必須遺伝子を網羅的に同定し、既報のSC3系統株であるMAC109の必須遺伝子と比較した。多くの必須遺伝子はコア遺伝子に由来していた一方で、EA系統とSC3系統に共通する必須遺伝子に加え、系統特異的な必須遺伝子も同定された。