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2026/07/31

液胞リパーゼAtg15の膜認識と活性化を支える構造・分子機構

論文タイトル
Structural and mechanistic basis for membrane recognition and activation of the vacuolar lipase Atg15
論文タイトル(訳)
液胞リパーゼAtg15の膜認識と活性化を支える構造・分子機構
DOI
10.1073/pnas.2601290123
ジャーナル名
Proceedings of the National Academy of Sciences of the United States of America
巻号
Proc. Natl. Acad. Sci. U.S.A. 123 (30) e2601290123
著者名(敬称略)
川俣 朋子 境 祐二 他
所属
横浜市立大学 理学部 理学科 生命ナノシステム科学研究科 物質システム科学専攻
著者からのひと言
細胞の中では、不要な膜を分解しながら、液胞膜などの大切な膜は守らなければなりません。本研究では、分子動力学シミュレーションと酵母・試験管内での実験を組み合わせ、脂質分解酵素Atg15が活性化され、分解対象の膜に優先的に働く仕組みを明らかにしました。計算による予測を実験で確かめることで、切断、膜結合、膜曲率認識という多段階の制御が見えてきました。細胞が膜を「安全に壊す」巧妙な仕組みを、ぜひご覧ください。

抄訳

オートファジーでは、細胞質成分を取り込んだオートファゴソームが液胞へ融合し、液胞内のオートファジックボディーなどの膜が分解される。しかし、脂質分解酵素Atg15が、周囲の液胞膜を傷つけることなく標的となる内腔膜に作用する仕組みは不明であった。
本研究では、酵母を用いた細胞内解析と試験管内実験に、全原子・粗視化分子動力学シミュレーションを組み合わせ、Atg15の活性化と膜認識機構を明らかにした。ジスルフィド結合は触媒コアの構造を安定化し、切断前のC末端領域は活性中心を閉じた状態に固定していた。C末端の切断後、膜への結合によって活性中心が開き、脂質が触媒部位へ到達できるようになった。さらにAtg15は、平坦な膜よりも小胞に相当する正の曲率をもつ膜に優先的に結合した。これらの結果から、Atg15は構造安定化、切断、膜結合、膜曲率認識という多段階の制御により、分解対象となる内腔膜を安全かつ優先的に分解すると考えられる。

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