抄訳
50歳代男性が、急性に発症した右側の舌腫脹、構音障害、嚥下障害を主訴に受診した。片側性の舌腫脹が目立ったことから当初は血管性浮腫が疑われたが、その後も右方への舌偏位が持続し、右舌下神経麻痺と診断した。画像を再検討すると、右舌下神経管出口部に骨棘を認め、環椎後頭関節の変形性変化、関節液貯留および周囲の骨髄浮腫を伴っており、頸椎症による舌下神経の圧迫が原因と考えられた。舌下神経麻痺では慢性期には舌萎縮を呈する一方、急性期には神経原性浮腫による舌腫脹が前景に立ち、舌偏位が目立たない場合がある。MRIで舌浮腫が正中を境に片側に限局する場合は、神経原性浮腫を示唆する手掛かりとなり得る。また、片側性舌腫脹では血管性浮腫のみならず舌下神経麻痺を鑑別に挙げ、その原因として腫瘍性病変や内頸動脈解離などを除外するとともに、頸椎症も考慮することが重要である。