抄訳
動物では、活発に行動する個体ほど短命で、活動性の低い個体ほど長寿になるという「ペースオブライフシンドローム(POLS)」仮説が提唱されています。しかし、こうした行動と生活史形質の関連が進化的にどのように形成されるのかは十分に分かっていません。本研究では、コクヌストモドキを用いて、歩行運動活性に対する長期的な人為選抜によって確立した高活動系統と低活動系統を比較しました。その結果、高活動系統では低活動系統と比べて寿命が短い一方、孵化率が高いことが明らかになりました。さらにトランスクリプトーム解析により、高活動系統と低活動系統の間で発現量の異なる遺伝子を特定しました。これらの結果は、運動活性への選択に伴って、寿命や繁殖、遺伝子発現にも進化的変化が生じることを示しています。本研究は、POLSの進化的・分子的基盤を理解するための新たな知見を提供するものです。