抄訳
天然変性タンパク質(IDP)は、相分離による凝縮体形成やアミロイド線維化などの自己組織化を介して様々な生理機能や疾患に関わります。しかし、IDPがどちらの自己組織化様式をとるのかを方向付ける仕組みは十分解明されていませんでした。そこで本研究では、アミノ酸配列に符号化された「5残基単位の構造選好性(局所構造バイアス)」が自己組織化を規定すると仮説を立てました。このバイアスを定量化した「5残基スコア」を開発し、強バイアス領域の配置のみが異なる人工IDP群「lag-series IDPs」を設計しました。その自己組織化特性を検証した結果、強バイアス領域は伸長したβシート様構造をとりやすく、この領域がアミノ酸配列上で密に配置された場合には凝縮体からアミロイド線維への転移が促進され、分散配置された場合には線維化が抑制されることが判明しました。本研究は局所構造バイアスがIDPの自己組織化様式を規定することを示唆しており、IDP物性の構造学的理解に寄与する成果です。