抄訳
本研究では、肺炎治療に用いられる3種類のフルオロキノロン系抗菌薬(レボフロキサシン、ガレノキサシン、ラスクフロキサシン)について、肺上皮被覆液(ELF)への移行性の違いがPK/PD解析に及ぼす影響を検討した。マウス肺炎球菌性肺炎モデルを用いて血漿およびELF中の薬物濃度を測定し、肺内の菌量変化との関係からPK/PD指標を評価した。その結果、すべての薬剤でAUC/MICが抗菌効果を最もよく反映したが、ELF移行性の違いにより、血漿基準とELF基準のPK/PD目標値には乖離が認められた。特にELF移行性が高いラスクフロキサシンではその乖離が顕著であった。さらに、ELF基準の目標値をヒトのELF/血漿曝露比を用いて換算すると、いずれの薬物も臨床で報告された目標値と概ね一致した。以上より、肺炎における抗菌薬の薬効評価には、ELFに基づくPK/PD目標値を考慮することが、抗菌効果の理解や投与設計の最適化に有用である可能性が示された。