抄訳
哺乳類の脳では、神経機能を支える100 kbを超える「超長鎖遺伝子」が数多く発現していますが、これら長大な遺伝子の転写伸長を担う分子複合体の実体は長らく謎のままでした。本研究では、RNA結合タンパク質SFPQが長鎖RNAを足場として、液-液相分離(LLPS)により核内にメッシュ状のコンデンセートを形成することを発見しました。この構造には、転写伸長、RNAプロセシング、クロマチン制御に関わる多様な因子が集積し、超長鎖遺伝子の発現を統合的に制御していました。さらに、この「転写伸長コンデンセート」が形成できなくなると、超長鎖遺伝子の転写やスプライシングが障害されることを明らかにしました。SFPQやその関連分子は自閉スペクトラム症(ASD)や筋萎縮性側索硬化症(ALS)とも関連しており、超長鎖遺伝子発現異常(long gene transcriptopathy)が神経疾患の発症に関与する可能性が示唆されました。