抄訳
植物病原糸状菌の中には「菌核」と呼ばれる休眠構造を形成し、土壌中で長期間生存するものがいます。しかし、この菌核内部に生息する細菌については、これまでほとんど注目されてきませんでした。本研究では、400種以上の植物に感染し、菌核病による深刻な農業被害をもたらすSclerotinia sclerotiorumの菌核から細菌の分離を試み、Ss8-5株を単離しました。さらに、全ゲノム解析の結果、1つの環状ゲノムが得られ、Ss8-5株はSphingobacterium kitahiroshimenseであると推定されました。この結果は、植物病原菌の休眠構造の中に、これまで知られていなかった細菌が共存している可能性を示すものです。今後は、得られたゲノム情報をもとに代謝機能や糸状菌との相互作用メカニズムを解析し、菌核内における生態的役割の解明を目指します。