抄訳
網膜変性疾患に対する再生医療として網膜オルガノイド(RO)移植が期待されるが、霊長類黄斑部で宿主双極細胞が移植視細胞と機能的シナプスを再形成できるかは不明であった。本研究では、ON双極細胞を欠失させたゲノム編集ヒトES細胞由来網膜オルガノイド(ISL1−/−)を、レーザー誘発黄斑部視細胞変性モデルのカニクイザルに移植した。免疫組織化学・微細構造解析・局所黄斑網膜電図(FMERG)により、宿主の桿体・錐体双極細胞がいずれも移植片へ樹状突起を伸長しシナプスを形成することを確認。移植部位でのFMERGは信号対雑音比が低く2000回加算平均を要するなど検出感度上の技術的困難があったが、複数時点での応答の再現性から、4眼中2眼でON双極細胞応答が最大21.6%有意に改善し、最長2年間安定して維持された。うち1眼ではOFF経路の接続性が移植13か月後に遅発性に向上した。これは霊長類黄斑における宿主-移植片間の長期機能的シナプス統合を詳細に示した初の報告であり、ISL1−/− ROが黄斑変性における中心視機能回復の有望な戦略であることを示唆する。