抄訳
道路交通は現代の人間社会の基盤となる要素です。近年、タイヤと路面の摩擦によって発生する「タイヤ摩耗粒子」は、広範な生物に対して毒性を持つことが懸念されています。これまでの研究では水生生態系や農作物への影響が調査されてきましたが、道路近くに位置する公園や 路傍の緑化帯といった都市緑地への影響はほとんど解明されていませんでした。本研究では、日本で一般的な路傍雑草種であるイヌムギに対してタイヤ摩耗粒子の曝露実験を行いました。その結果、タイヤ摩耗粒子はシュート(地上部)および根の成長を著しく阻害することが実証されました。さらに、根における酸化ストレスを有意に上昇させました。これらの知見は、都市緑地生態系においてタイヤ摩耗粒子汚染が身近な野草にも害を与えていることを示しており、都市の緑地生態系全体へどのような影響が広がっているのか、詳しく調べる必要性を示しています。