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2026/10/01

 ネコの「においの個性」を生み出す腎臓由来の分岐鎖脂肪酸

論文タイトル
Signatures of branched-chain fatty acids derived from a kidney reservoir confer stable chemical individuality on domestic cats
論文タイトル(訳)
 ネコの「においの個性」を生み出す腎臓由来の分岐鎖脂肪酸
DOI
10.1016/j.cub.2026.07.045
ジャーナル名
Current Biology
巻号
Current Biology, 2026; 36, 4340-4353.e20
著者名(敬称略)
市沢翔太 宮崎雅雄 他
所属
岩手大学 農学部生命科学科
著者からのひと言
約20年前、ネコのフレーメン反応を観察したことから、「ネコは尿のにおいから相手の何を読み取っているのか」という疑問を持ちました。本研究は、その素朴な疑問を追い続けた末にたどり着いた成果です。腎臓に蓄えられた分岐鎖脂肪酸が、長期間変わりにくい「 においの個性 」をつくることを明らかにしました。途中で研究が中断した時期もありましたが、多くの共同研究者に支えられ、ようやく一つの形にまとめることができました。

抄訳

 動物は尿などのにおいを手掛かりに相手を識別しますが、時間とともに変化するにおいが、どのようにして安定した個体情報を保つのかは十分に分かっていませんでした。本研究では、ネコのフレーメン反応を手掛かりに尿中成分を解析し、13種類の特殊な分岐鎖脂肪酸を同定しました。これらの種類と比率は個体ごとに異なる一方、同じ個体では採尿日が違っても比較的安定し、尿を室温で24時間置いた後も個体特有の組成が保たれました。さらに、ネコ自身が個体ごとに異なる分岐鎖脂肪酸の組成を嗅ぎ分けられることを行動試験で示しました。また、分岐鎖脂肪酸を含む脂質が腎臓皮質の脂肪滴に蓄積していることを発見し、この脂肪滴が個体特有の化学情報を安定して尿へ供給する貯蔵庫として働く可能性を示しました。さらに、ライオン、トラ、ヒョウ、ジャガー、イリオモテヤマネコなどのネコ科動物でも関連する尿成分や腎臓の脂肪滴が確認され、その特徴がネコ科の進化の中で多様化してきた可能性が示されました。

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