抄訳
ロイコトリエンA4加水分解酵素(LTA4H)は、炎症を促進するロイコトリエンB4の生合成の最終段階を担う酵素です。M1ファミリーの金属ペプチダーゼに属し、エポキシド加水分解酵素とアミノペプチダーゼの二つの活性を持ちます。本研究では、LTA4H阻害剤ベスタチンの結合が酵素の構造動態に及ぼす影響を調べました。ヒトの単量体とX. laevisの二量体のX線結晶構造を基に、阻害剤の有無および単量体・二量体の条件で全原子分子動力学シミュレーションを行い、比較解析しました。その結果、X. laevisの二量体ではサブユニット間の相互作用が活性部位とC末端ドメインの連動を変化させ、ベスタチンの結合を不安定にすることが示唆されました。この影響は、サブユニットを単独にすると弱まりました。本研究は、創薬において静的な構造だけでなく、酵素の会合状態と動的な性質を考慮する重要性を示しています。