抄訳
レジオネラ症の感染源調査では、コアゲノム一塩基変異(cgSNV)解析が分離株間の遺伝的近縁性の評価に用いられるが、近縁株間に存在するゲノム構造の違いを十分に捉えられない可能性がある。本研究では、レジオネラ症患者および関連する浴場施設の環境試料から分離されたLegionella pneumophila 138株を対象に、cgSNV解析と比較ゲノム構造解析を組み合わせ、近縁株間のゲノム多様性を調査した。cgSNV解析では全株間のSNV差が最大20であり、臨床由来株が遺伝的に均一な系統を形成する一方、環境由来株には多様な遺伝子型が認められた。さらに、代表48株のコンプリートゲノム配列を比較した結果、ゲノムシンテニーはほぼ保存されていたものの、挿入配列(IS)、特にIS256の挿入位置に顕著な多様性が認められた。同一のcgSNV遺伝子型を共有する株間でもIS挿入パターンが異なっており、ISに関連した構造的変異がコアゲノムSNVの蓄積とは独立して生じ得ることが示唆された。