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2026/10/19

TCR–mTORC1シグナルはTETタンパク質の翻訳促進を介して制御性T細胞におけるFoxp3発現のエピジェネティックな安定化を促す

論文タイトル
TCR–mTORC1 signaling promotes epigenetic stabilization of Foxp3 expression in regulatory T cells via TET protein translation
論文タイトル(訳)
TCR–mTORC1シグナルはTETタンパク質の翻訳促進を介して制御性T細胞におけるFoxp3発現のエピジェネティックな安定化を促す
DOI
10.1073/pnas.2612904123
ジャーナル名
Proceedings of the National Academy of Sciences of the United States of America
巻号
Proc. Natl. Acad. Sci. U.S.A. 123 (40) e2612904123
著者名(敬称略)
筆頭著者:木下 誠秀.連絡著者:中島 啓、堀 昌平
所属
東京大学大学院薬学系研究科 免疫・微生物学教室
著者からのひと言
私たちの体の細胞は、周囲からさまざまな刺激を受け、異なる性質や機能を獲得します。しかし、こうした一過性の刺激が、どのように遺伝子の働きを長期にわたって変化させ、細胞の性質を安定的に維持するのか、その仕組みは十分に分かっていません。本研究では、制御性T細胞をモデルとして、細胞外からの刺激がDNA脱メチル化を促し、細胞の性質を安定化させる分子機構の一端を明らかにしました。この発見が、細胞分化と細胞記憶の仕組みの解明に貢献するとともに、免疫寛容の成立と維持の理解を深め、将来的には制御性T細胞を用いた細胞療法の開発にもつながることを期待しています。

抄訳

制御性T細胞(Treg)は、病的な免疫応答を抑え、免疫寛容の維持に重要な役割を果たしています。その機能を安定して維持するには、マスター転写因子Foxp3の持続的な発現が不可欠であり、これにはFoxp3遺伝子の発現を制御するエンハンサー領域(TSDR)がT細胞受容体(TCR)刺激依存的にDNA脱メチル化を受けることが重要です。しかし、TCR刺激がどのような仕組みでDNA脱メチル化を誘導するのかは不明でした。本研究では、培養系で誘導したTregを用い、強く持続するTCRシグナルがmTORC1を活性化し、DNA脱メチル化を担うTET2とTET3の翻訳を促進することで、TSDRのDNA脱メチル化を促進し、Foxp3発現の安定化と免疫抑制機能の獲得につながることを明らかにしました。さらに、マウス生体内でもmTORC1がFoxp3のエピジェネティックな制御に関与することを示しました。本成果は、抗原受容体シグナルとエピジェネティックな遺伝子発現制御を結びつける新たな分子機構を明らかにし、安定したTregを用いた細胞療法の開発にもつながると期待されます。

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