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2026/10/20

細胞の休止期から増殖期への移行はミトコンドリアDNAの非同期複製の動態を制御する

論文タイトル
Quiescence to proliferation transition regulates asynchronous mitochondrial DNA replication dynamics
論文タイトル(訳)
細胞の休止期から増殖期への移行はミトコンドリアDNAの非同期複製の動態を制御する
DOI
10.1073/pnas.2602028123
ジャーナル名
Proceedings of the National Academy of Sciences of the United States of America
巻号
Proc. Natl. Acad. Sci. U.S.A. 123 (42) e2602028123
著者名(敬称略)
宮川 清、細谷 紀子
所属
東京大学大学院医学系研究科 疾患生命工学センター 放射線分子医学部門
著者からのひと言
 ミトコンドリアDNAでは、細胞核DNAとは異なり、リーディング鎖とラギング鎖の複製が同期しないことが知られていましたが、なぜ極めて単純な環状構造DNAにこの非同期複製が必要とされるかは長年不明でした。今回その1分子解析によって生物学的意義の一つが解明されたことによって、エネルギー代謝と細胞機能の関係について今後新しい展開が期待されます。

抄訳

一つのヒト細胞は数百から数千コピーのミトコンドリアDNAを有しますが、その一部のみが細胞周期に関係なく複製します。リーディング鎖とラギング鎖の非同期複製がミトコンドリアDNAの主な複製機構とされていますが、これまでは、細胞内で刻々と変化するDNA複製動態を観察することが難しかったために、その制御機構の解明は困難でした。本論文は、各鎖の複製開始部位と時間を鑑別するミトコンドリアDNA1分子解析法を用いることにより、細胞の休止期から増殖期への移行過程では、ミトコンドリアDNAの鎖特異的な複製頻度が動的に解離し、複製・転写に必要な分子の要求度が変化することを示しました。すなわち、この過程では、ミトコンドリアRNAポリメラーゼの複製開始における要求度が高まるとともに、DNA障害部位でDNA再プライミングを行うプライマーゼ-ポリメラーゼの要求度が低下します。このように、単鎖レベルで正確にミトコンドリアDNA複製頻度を定量化することで、休止期から増殖期への移行過程におけるミトコンドリアDNA複製機構の動的な性状が明らかになりました。

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