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2026/10/23

胞子形成の恒常化は野生分裂酵母の昆虫との共生を促進する

論文タイトル
Constitutive sporulation in wild fission yeast enhances insect-mediated survival.
論文タイトル(訳)
胞子形成の恒常化は野生分裂酵母の昆虫との共生を促進する
DOI
10.1073/pnas.2607475123
ジャーナル名
Proceedings of the National Academy of Sciences of the United States of America
巻号
Proc. Natl. Acad. Sci. U.S.A. 123 (40) e2607475123
著者名(敬称略)
仁木 宏典 筆頭著者、連絡著者
清家 泰介 連絡著者
所属
国立遺伝学研究所 微生物機能研究室
九州工業大学 大学院情報工学研究院 生命情報工学研究系
著者からのひと言
ジャポニカス分裂酵母は全国各地に生息しており、道端の花や樹皮など、ごく身近な場所にいます。その酵母が昆虫との共生によって今も進化しています。生物の適応進化を身近に感じてもらえる研究です。(仁木)
なぜ、栄養が十分にあるのに胞子をつくる酵母がいるのか。今回の研究では、その不思議な性質が自然界での生存に有利に働くことがわかりました。実験室では見えてこない野生酵母の巧みな生存戦略と、微生物の進化の面白さを感じてもらえれば嬉しいです。(清家)

抄訳

酵母は、栄養条件に応じて栄養増殖と有性生殖を使い分ける。ところが、国内のショウジョウバエから分離されたジャポニカス分裂酵母は、栄養条件が良いにもかかわらず、恒常的に胞子を形成した。この形質は栄養条件が良い環境では増殖に不利であるにもかかわらず、国内各地から同じ形質を持つジャポニカス分裂酵母が見つかった。
そこで、昆虫による捕食がこの形質を維持する選択圧になっていると考え、ショウジョウバエとジャポニカス分裂酵母を用いた共生実験を行った。その結果、ハエによる捕食と消化が、恒常的に胞子を形成する形質に対する正の選択圧になり得ることが明らかになった。また、この形質は、有性生殖の開始を調節する複数の因子に生じた比較的軽微な変異が組み合わさることで獲得されたことが示唆された。
以上の結果から、国内の野生酵母集団では、昆虫との相互作用を介した自然選択により、恒常的な胞子形成という新たな形質を持つ遺伝集団が形成され、維持されていると考えられる。

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