抄訳
魚の胸鰭と腹鰭は、進化の過程で四肢動物の前肢と後肢へと変化し、私たちの手足につながりました。これらの器官は形が大きく異なりますが、その複雑な形をつくるために共通のHoxA/D9–13遺伝子システムを利用しています。しかし、この仕組みが進化の過程でどのように成立したのかは不明でした。
本研究では、ゼブラフィッシュの5つのHoxA/D9–10遺伝子を同時に欠失させると、腹鰭のもとになる細胞集団が検出されなくなり、腹鰭が完全に消失することを発見しました。さらに、両生類のイベリアトゲイモリでもHox9–10遺伝子群を破壊すると、後肢の形成が大きく損なわれました。
これらの結果は、魚の腹鰭と四肢動物の後肢の形成開始に共通するHox9–10の働きが、進化を通じて保存されていることを示しています。また、もともと体の後方を決めていたHox遺伝子の仕組みが、まず腹鰭の形成に利用され、やがて胸鰭にも共通するHoxA/D9–13システムへと発展したという進化モデルを支持する成果です。