抄訳
エピジェネティック制御因子MBD3は、クロマチン構造の制御に関与するNuRD複合体の必須構成因子であるが、制御性T細胞(Treg)の分化および恒常性維持における役割は明らかになっていなかった。本研究では、T細胞特異的MBD3欠損マウスが、Tregの減少に伴って重篤な多臓器自己免疫疾患を発症することを見出した。さらに、網羅的な遺伝子発現およびエピゲノム解析により、MBD3が胸腺Tregの分化過程において、Il2ra(CD25)遺伝子領域に存在するTreg特異的エンハンサーの活性化を介してCD25の発現を促進することで、胸腺細胞からTreg前駆細胞への分化を支持することを明らかにした。本研究は、胸腺T細胞発生におけるエピゲノム制御の破綻が、Treg分化の障害を介して自己免疫疾患の発症につながることを示しており、Treg分化を支えるエピジェネティック制御機構の重要性を改めて提示するものである。