抄訳
成人に比して小児甲状腺分化癌の特徴として、遠隔転移の頻度が高いことから、遠隔転移例の治療成績および危険因子について検討した。1979年から2014年までの間に初回手術を行った18歳以下の171例の甲状腺分化癌症例について後方視的に検討した。放射性ヨウ素(RAI)治療に対する効果を米国甲状腺学会のガイドラインおよびRECIST基準によって判定した。遠隔転移は29例(17%)に認め、全例肺転移であった。陰影像により、大結節影(1cm以上)、小結節影(1cm未満)および無結節影(RAIシンチグラフィのみで検出)にわけた。最も良好な効果を得られたのは無結節影群であった。遠隔転移に関わる因子は性別、術前判明リンパ節転移、腺外浸潤、転移リンパ節数であった。危険因子数により、低危険度(なし)、中危険度(1つ)および高危険度(2つ以上)の3群にわけた。20年無遠隔転移生存率は、それぞれ99%、72%、29%であった。治療効果に得るためには、結節影を認める前に診断することが重要であり、そのためには危険度に応じた選択的治療が望まれる。