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日本人論文紹介:詳細

2021/02/22

細胞内Nrf2発現量が化学発がんにおける食道上皮細胞の運命を決定する

論文タイトル
Cellular Nrf2 Levels Determine Cell Fate during Chemical Carcinogenesis in Esophageal Epithelium
論文タイトル(訳)
細胞内Nrf2発現量が化学発がんにおける食道上皮細胞の運命を決定する
DOI
10.1128/MCB.00536-20
ジャーナル名
Molecular and Cellular Biology
巻号
Molecular and Cellular Biology February 2021; volume 41,issue 2
著者名(敬称略)
堀内 真、山本 雅之 他
所属
東北大学大学院医学系研究科 医化学分野

抄訳

転写因子Nrf2は、生体防御酵素群の発現を誘導して、発がん物質に対する細胞保護効果を強める働きをする。一方、Nrf2欠失マウスでは種々の発がん物質に対する感受性が高まっており、化学発がんが起こりやすいことが知られている。しかし、従来のモデルではNrf2を全身性に欠失した状態のマウスでの化学発がんを検討しており、正常細胞とNrf2欠失細胞が混在する条件での化学発がんは調べられていなかった。本研究では、食道上皮においてNrf2欠失細胞と正常細胞がほぼ同等に混在するマウスを作出し、同マウスに発がん物質4-ニトロキノリン-1-オキサイド(4NQO)を投与して、同上皮における正常細胞とNrf2欠失細胞の挙動を検討した。本マウスの食道上皮においては、通常環境ではNrf2欠失細胞と正常細胞が混在した。しかし、4NQOを曝露した際にはNrf2欠失細胞が選択的に排除され、存在しなくなっていた。4NQOが誘導した腫瘍の大半はNrf2欠失細胞由来ではなく、Nrf2発現細胞由来であった。これらの結果から、化学発がん剤はNrf2欠失細胞ではなく、発現細胞を発がんに導くこと、また、Nrf2欠失細胞が食道上皮に出現しても、その組織環境から、直ぐに発がんする運命をたどる可能性は低いことが理解される。

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