抄訳
ChREBPは肝における脂肪酸合成遺伝子の発現を調節する転写因子である。今回我々は副腎ChREBPの脂肪酸合成、ステロイド合成における役割を検討した。本研究では、マウス副腎においてChrebpが発現すること、Chrebp ホモ欠損マウス(Chrebp-/-)では脂肪酸合成低下の結果、細胞内脂肪滴の減少とともに副腎トリグリセリド含量が低下することを明らかにした。また、副腎では血液中から取り込んだコレステロールを利用して、コルチコステロンを合成する。Chrebp -/-では血中コレステロール濃度の低下が見られるため、副腎ステロイド合成・分泌能が低下すると考えた。しかし、コレステロール合成や取り込みを調節する転写因子Srebf2の発現増加により副腎コレステロール含量は不変であり、副腎コルチコステロン含量やコルチコステロン分泌能も不変であった。以上から、副腎ChREBPは脂肪酸合成を調節するものの、コルチコステロン合成・分泌能には影響しないことを明らかにした。