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2022/02/08

高血圧患者における血管周囲腔に沿った水拡散係数の変化

論文タイトル

An Investigation of Water Diffusivity Changes along the Perivascular Space in Elderly Subjects
with Hypertension

論文タイトル(訳)
高血圧患者における血管周囲腔に沿った水拡散係数の変化
DOI
10.3174/ajnr.A7334
ジャーナル名
American Journal of Neuroradiology
巻号
American Journal of Neuroradiology Vol. 43 No.1
著者名(敬称略)
菊田 潤子 他
所属
順天堂大学医学部附属順天堂医院

抄訳

近年、脳内の老廃物排泄機構としてのGlymphatic system仮説が注目されている。Glymphatic systemは、脳脊髄液が動脈の血管周囲腔から脳実質内に流入し、間質液との交換とともに脳実質内の老廃物を洗い流し、静脈血管周囲腔から排泄するという仮説である。本研究は高血圧患者の血管周囲腔に沿った水拡散係数(The analysis along the perivascular space index:ALPS index)の変化を調査した。まず、高血圧患者群63例、対照群63例の頭部MRIの拡散強調画像を用いて、左右大脳半球とその平均値のALPS indexを算出した。次に、高血圧患者群と対照群のALPS indexの群間比較を行った。さらに、すべての被験者の左右大脳半球、およびその平均値のALPS indexと最高血圧値、最低血圧値、平均血圧値、脈圧値の相関関係を調査した。その結果、高血圧患者群は対照群と比較して左大脳半球と平均ALPS indexが有意に低く(P <0.05)、左右大脳半球とその平均のALPS indexと最高血圧値、最低血圧値、平均血圧値、および脈圧値に有意な負の相関がみられた。本研究は、高血圧患者における血管周囲腔に沿った水拡散係数の変化を認め、高血圧症がGlymphatic systemの障害を引き起こす可能性が示唆された。

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