抄訳
症例は90代女性と70代男性。いずれの症例もBNT162b2ワクチン接種後に関節症状が1ヶ月以上持続し、当院へ入院となった。90代女性は胸膜炎を合併していたが、感染・腫瘍は除外され、自己免疫機序による胸膜炎と考えられた。いずれの症例もプレドニゾロン20mgの内服で関節炎症状は速やかに改善し、胸膜炎合併例では胸膜炎も改善した。治療開始前の血清IL-1β, IL-6, TNF-α, IFN-α2, IFN-β, IFN-γを測定したところ、胸膜炎を伴った症例においてのみ血清IFN-βの著増を認めた。IFN-βの著増はmRNAワクチン接種による自然免疫系の過剰な活性化を反映している可能性を考えるが、さらなる症例集積が必要である。