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2022/08/31

骨格繊毛病の原因となるIFT52の変異が繊毛機能障害を引き起こす分子基盤

論文タイトル
Molecular basis underlying the ciliary defects caused by IFT52 variations found in skeletal ciliopathies
論文タイトル(訳)
骨格繊毛病の原因となるIFT52の変異が繊毛機能障害を引き起こす分子基盤
DOI
10.1091/mbc.E22-05-0188
ジャーナル名
Molecular Biology of the Cell
巻号
Molecular Biology of the Cell Volume 33, Issue 9
著者名(敬称略)
石田 大和, 加藤 洋平, 中山 和久 他
所属
京都大学大学院 薬学研究科 生体情報制御学分野

抄訳

繊毛内タンパク質輸送(IFT)を媒介するIFT装置は、IFT-A複合体とIFT-B複合体から構成される。IFT52は繊毛内順行輸送を媒介するIFT-B複合体のサブユニットをコードしており、その変異は繊毛病の短肋骨多指症候群(SRPS)を引き起こす。本研究では、SRPSの原因となるIFT52の変異が繊毛機能不全を引き起こす分子基盤を解明した。まず、タンパク質間相互作用解析の結果、SRPSの原因となる変異はIFT-B複合体の構築およびIFT-B複合体とヘテロ三量体キネシン2の相互作用を阻害することが明らかになった。また、IFT52ノックアウト細胞にSRPSの原因変異体を発現させてSRPS患者の遺伝子型を模倣した細胞では、繊毛形成が若干阻害され、繊毛に局在するIFT-B複合体が減少していた。さらに、SRPS患者の遺伝子型を模倣した細胞では、IFT-B複合体によって繊毛先端に輸送されるICKやKIF17が繊毛先端に局在しにくくなった。以上の結果から、IFT52の変異を持つSRPS患者に見られる繊毛機能不全は、繊毛に局在するIFT-B複合体が減少し、繊毛内順行輸送が阻害されることに起因すると考えられる。

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