抄訳
一次繊毛はさまざまな受容体などを含むアンテナ様のオルガネラである。繊毛内の順行性および逆行性のタンパク質輸送は、繊毛内タンパク質輸送(IFT)装置により行われている。BROMI/TBC1D32はCCRK/CDK20と相互作用し、ICK/CILK1キナーゼをリン酸化することで活性化させ、繊毛の先端におけるIFT装置の方向転換を制御することが知られている。ヒトのBROMI、CCRK、ICKの変異は繊毛病を引き起こし、これらの遺伝子を欠損したマウスも繊毛病の表現型を示すことが知られている。我々は、BROMIがCCRKだけでなく、進化的に保存された繊毛タンパク質であるCFAP20や、変異により繊毛病のジュベール症候群(Joubert syndrome: JBTS)を引き起こすFAM149B1/JBTS36と相互作用することを示した。さらに、FAM149B1がBROMIと同様にCCRKと直接相互作用していることも明らかにした。CCRKノックアウト(KO)、BROMI-KO、FAM149B1-KO細胞で観察された繊毛の異常(異常に長い繊毛、IFT装置とICKの繊毛先端への異常な蓄積)は互いに似ており、CCRKとCFAP20との結合に欠陥のあるBROMI変異体はBROMI-KO細胞における繊毛異常をレスキューすることができなかった。これらの結果から、CCRK、BROMI、FAM149B1、そしておそらくCFAP20が、ICKの制御下でのIFT装置の方向転換を制御していることが示唆された。