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2022/08/31

BROMI/TBC1D32は、CCRK/CDK20およびFAM149B1/JBTS36とともに、ICK/CILK1が関与する繊毛内タンパク質輸送装置の方向転換に寄与する

論文タイトル
BROMI/TBC1D32 together with CCRK/CDK20 and FAM149B1/JBTS36 contributes to intraflagellar transport turnaround involving ICK/CILK1
論文タイトル(訳)
BROMI/TBC1D32は、CCRK/CDK20およびFAM149B1/JBTS36とともに、ICK/CILK1が関与する繊毛内タンパク質輸送装置の方向転換に寄与する
DOI
10.1091/mbc.E22-03-0089
ジャーナル名
Molecular Biology of the Cell
巻号
Molecular Biology of the Cell Volume 33, Issue 9
著者名(敬称略)
里田 裕紀, 加藤 洋平, 中山 和久 他
所属
京都大学大学院 薬学研究科 生体情報制御学分野

抄訳

一次繊毛はさまざまな受容体などを含むアンテナ様のオルガネラである。繊毛内の順行性および逆行性のタンパク質輸送は、繊毛内タンパク質輸送(IFT)装置により行われている。BROMI/TBC1D32はCCRK/CDK20と相互作用し、ICK/CILK1キナーゼをリン酸化することで活性化させ、繊毛の先端におけるIFT装置の方向転換を制御することが知られている。ヒトのBROMI、CCRK、ICKの変異は繊毛病を引き起こし、これらの遺伝子を欠損したマウスも繊毛病の表現型を示すことが知られている。我々は、BROMIがCCRKだけでなく、進化的に保存された繊毛タンパク質であるCFAP20や、変異により繊毛病のジュベール症候群(Joubert syndrome: JBTS)を引き起こすFAM149B1/JBTS36と相互作用することを示した。さらに、FAM149B1がBROMIと同様にCCRKと直接相互作用していることも明らかにした。CCRKノックアウト(KO)、BROMI-KO、FAM149B1-KO細胞で観察された繊毛の異常(異常に長い繊毛、IFT装置とICKの繊毛先端への異常な蓄積)は互いに似ており、CCRKとCFAP20との結合に欠陥のあるBROMI変異体はBROMI-KO細胞における繊毛異常をレスキューすることができなかった。これらの結果から、CCRK、BROMI、FAM149B1、そしておそらくCFAP20が、ICKの制御下でのIFT装置の方向転換を制御していることが示唆された。

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