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2022/09/22

全身性エリテマトーデスの発症と増悪に関わる遺伝子発現異常の解明

論文タイトル
Distinct transcriptome architectures underlying lupus establishment and exacerbation
論文タイトル(訳)
全身性エリテマトーデスの発症と増悪に関わる遺伝子発現異常の解明
DOI
10.1016/j.cell.2022.07.021
ジャーナル名
Cell
巻号
Cell Vol 185, Issue 18
著者名(敬称略)
中野正博、石垣和慶、 藤尾圭志 他
所属
理化学研究所 生命医科学研究センター 東京大学 大学院医学系研究科 内科学専攻 アレルギー・リウマチ学

抄訳

 全身性エリテマトーデス(SLE)は、多臓器に及ぶ自己免疫疾患で、病態と免疫経路の関連は不明である。本研究ではSLE患者136例と健常対照者89例から27種に及ぶ免疫細胞6,386サンプルのトランスクリプトームからなる大規模機能ゲノムデータベースを構築した。このデータベースにおいて、それぞれ非活動性SLEと健常対照者、および高活動性SLEと非活動性SLEにおける遺伝子発現を比較することで、疾患の発症を反映する「疾患状態シグネチャー」と疾患の増悪を反映する「疾患活動性シグネチャー」が同定された。疾患活動性シグネチャーが臓器病変や治療反応性と強く関連することが示された一方、GWASによって以前に同定されたSLEのリスクアレルとより密接に関連したのは、疾患活動性ではなく疾患状態シグネチャーであった。これらの知見は、SLEのバイオマーカーや治療標的を特定するために、疾患状態ではなく疾患活動性の遺伝子シグネチャーに今後注目することの重要性を示唆するものである。

 

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