抄訳
全身性エリテマトーデス(SLE)は、多臓器に及ぶ自己免疫疾患で、病態と免疫経路の関連は不明である。本研究ではSLE患者136例と健常対照者89例から27種に及ぶ免疫細胞6,386サンプルのトランスクリプトームからなる大規模機能ゲノムデータベースを構築した。このデータベースにおいて、それぞれ非活動性SLEと健常対照者、および高活動性SLEと非活動性SLEにおける遺伝子発現を比較することで、疾患の発症を反映する「疾患状態シグネチャー」と疾患の増悪を反映する「疾患活動性シグネチャー」が同定された。疾患活動性シグネチャーが臓器病変や治療反応性と強く関連することが示された一方、GWASによって以前に同定されたSLEのリスクアレルとより密接に関連したのは、疾患活動性ではなく疾患状態シグネチャーであった。これらの知見は、SLEのバイオマーカーや治療標的を特定するために、疾患状態ではなく疾患活動性の遺伝子シグネチャーに今後注目することの重要性を示唆するものである。