本文へスキップします。

H1

国内研究者論文詳細

日本人論文紹介:詳細

2022/12/12

雌ラットへのリポポリサッカライド子宮内投与による弓状核キスペプチン遺伝子発現,黄体形成ホルモンパルス,および卵巣機能抑制

論文タイトル
Intrauterine LPS inhibited arcuate Kiss1 expression, LH pulses, and ovarian function in rats
論文タイトル(訳)
雌ラットへのリポポリサッカライド子宮内投与による弓状核キスペプチン遺伝子発現,黄体形成ホルモンパルス,および卵巣機能抑制
DOI
10.1530/REP-22-0047
ジャーナル名
Reproduction
巻号
Reproduction Volume 164: Issue 5 207–219
著者名(敬称略)
真方文絵 他
所属
東京大学大学院農学生命科学研究科獣医繁殖育種学研究室

抄訳

炎症性子宮疾患は、ヒトおよび家畜の生殖機能を低下させる。本研究は、子宮の炎症を引き起こす細菌毒素であるリポポリサッカライド(LPS)の子宮内投与が卵巣機能に及ぼす影響を検証した。雌ラットへの子宮内LPS投与によって子宮の炎症を誘発したところ、投与後48時間まで血漿中のLPS濃度が上昇したとともに、発情周期の乱れが生じた。LPS群では投与後3日における成熟卵胞数と血漿エストラジオール濃度が減少したとともに、投与後4日では排卵率および血漿プロジェステロン濃度が低下した。LPS群のうち排卵しなかったラットの卵巣において、インターロイキン1βおよび腫瘍壊死因子の遺伝子発現が上昇しており、炎症反応の亢進が認められた。卵巣摘出ラットでは、LPS投与後24時間において視床下部弓状核のキスペプチン遺伝子発現細胞数および黄体形成ホルモン(LH)パルス頻度が減少した。以上の結果から、子宮内の LPS は血中に移行し、卵巣の炎症反応を誘起するとともに、キスペプチン遺伝子発現および LH 分泌を抑制することで卵巣機能を低下させる可能性が示された。

論文掲載ページへ