抄訳
気腫性胃炎と胃壁内気腫は異なる疾患だが、どちらも稀な疾患であり、気腫性胃炎は死亡率も55%と高いことからしばしば区別されずに治療される。胃瘻造設後は気腫性胃炎よりも胃壁内気腫がみられることが多く、胃壁内気腫は自然治癒する疾患なので抗生剤投与などの治療は不要である。また画像診断を行うにあたり、CTはわずかなガス産生の検出にも有効であるため胃壁内気腫・気腫性胃炎どちらにおいてもよく用いられている。しかしその後のフォローアップにも用いるとなると被爆量が懸念される。今回我々は胃瘻造設後に胃壁内気腫を認めた92歳男性の一例を経験した。ガス消失確認目的のフォローアップにはレントゲンが有効で、抗生剤投与などの特別な治療は一切行わなかった。過剰な検査や治療を避けるためにも、やはり胃壁内気腫と気腫性胃炎は区別する必要がある。