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2023/02/02

アオコを形成する有毒シアノバクテリア、ミクロキスティス・エルギノーサに感染する広域および狭域宿主ウイルスの生態学的挙動

論文タイトル
Ecological Dynamics of Broad- and Narrow-Host-Range Viruses Infecting the Bloom-Forming Toxic Cyanobacterium Microcystis aeruginosa
論文タイトル(訳)
アオコを形成する有毒シアノバクテリア、ミクロキスティス・エルギノーサに感染する広域および狭域宿主ウイルスの生態学的挙動
DOI
10.1128/aem.02111-22
ジャーナル名
Applied and Environmental Microbiology
巻号
Applied and Environmental Microbiology 23 January 2023 e02111-22
著者名(敬称略)
森本 大地 吉田 天士 他
所属
京都大学大学院農学研究科応用生物科学専攻海洋分子微生物学分野

抄訳

シアノバクテリア・ミクロキスティスは肝臓毒生産能を有し、世界中の湖沼で異常増殖してアオコを形成するため、生態学的に極めて重要な生物種と位置付けられています。本種は全遺伝子の約3割を多様なウイルス耐性遺伝子が占め、多種多様なウイルスと環境中で相互作用すると示唆されてきました。本研究では、以前に分離・メタゲノム解析により見出した本種感染ウイルスについて、宿主域の違いに着目しました。定量PCR法ならびにアンプリコン解析を確立し、広域および狭域宿主ウイルスがミクロキスティスの種内個体群に与える影響を評価しました。その結果、狭域宿主ウイルスは調査期間を通じて存在量が大きく変化しないのに対し、広域宿主ウイルスはミクロキスティスの生物量増加に伴い、存在量が増加することが示されました。一方で、ミクロキスティスの種内個体群は同期間中に組成が大きく変動することが明らかとなりました。広域宿主ウイルスによる感染が拡大するにも関わらず、ミクロキスティスがその生物量を拡大・維持できるのは、その卓越したウイルス耐性機構に依ることが強く示唆されました。

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