本文へスキップします。

H1

国内研究者論文詳細

日本人論文紹介:詳細

2023/02/07

タバコ煙はミトコンドリアDNA損傷とcGAS-STING経路の活性化を誘発する:動脈硬化のバイオマーカーへの応用

論文タイトル
Cigarette smoke induces mitochondrial DNA damage and activates cGAS-STING pathway: application to a biomarker for atherosclerosis
論文タイトル(訳)
タバコ煙はミトコンドリアDNA損傷とcGAS-STING経路の活性化を誘発する:動脈硬化のバイオマーカーへの応用
DOI
10.1042/CS20220525
ジャーナル名
Clinical Science
巻号
Clin Sci (Lond) (2023) 137 (2): 163-180.
著者名(敬称略)
上田 桂太郎 石田 万里 他
所属
広島大学大学院 医系科学研究科 心臓血管生理医学

抄訳

喫煙は動脈硬化の主要なリスクファクターである。血管内皮細胞は炎症を調節することから、本研究では喫煙が内皮細胞の自然免疫を活性化する機構をDNA損傷の観点から明らかにし、診断への臨床応用の可能性を探索した。タバコ煙抽出物(CSE)は、ヒト内皮細胞において、核およびミトコンドリアのDNA損傷を誘発し、その結果として蓄積した細胞質DNA断片がcyclic GMP-AMP synthase(cGAS)-stimulator of interferon genes(STING)経路の活性化を介した炎症を惹起することを示した。ミトコンドリアおよび核DNA損傷の結果である血漿中cell-free DNA (cfDNA)は、ミトコンドリア由来cfDNA、核由来cfDNAとも動脈硬化患者において増加しており、特にミトコンドリアcfDNAが動脈硬化のリスクと有意に関連していることを明らかにした。本研究成果は、喫煙をはじめとする種々の動脈硬化危険因子がcfDNAを増加させることを示唆し、cfDNAが動脈硬化の有用な新規バイオマーカーである可能性を示した。

論文掲載ページへ