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2023/03/01

ヒトパルボウイルス B19粒子のペプチドタグによる標識と生体膜による被膜ウイルス粒子の同定

論文タイトル
Tracking of Human Parvovirus B19 Virus-Like Particles Using Short Peptide Tags Reveals a Membrane-Associated Extracellular Release of These Particles
論文タイトル(訳)
ヒトパルボウイルス B19粒子のペプチドタグによる標識と生体膜による被膜ウイルス粒子の同定
DOI
10.1128/jvi.01631-22
ジャーナル名
Journal of Virology
巻号
Journal of Virology February 2023  Volume 97  Issue 2  e01631-22
著者名(敬称略)
石田 幸太郎 森田 英嗣 他
所属
弘前大学 農学生命科学部分子生命科学科細胞分子生物学分野

抄訳

ヒトパルボウイルスB19(B19V)は母子感染による胎児水腫・流産の原因として知られている。B19Vは外被膜を持たない非エンベロープウイルスであり、細胞溶解を介して細胞外に放出されると考えられてきたがその実態は不明であった。この研究では、まず、B19V粒子を形成する構造タンパク質: VP2に、粒子形成に影響を与えずに高感度検出用ペプチドタグ:HiBiTを挿入可能な箇所を同定し、高感度にてウイルス粒子を検出可能な実験系を確立した。培養上清に分泌されるVLPは、界面活性剤処理依存的に検出されること、また、電子顕微鏡解析により多数の膜小胞と共に検出されることからウイルス粒子は生体膜によって被膜され細胞外へ分泌されている可能性が示唆された。また、微小管重合阻害剤ノコダゾール処理により被膜VLP分泌が増加すること、さらに、蛍光標識VLPの蛍光ライブイメージング観察にて細胞分裂に伴い核から細胞質への移行が確認されたことから、一部のB19V粒子は、細胞分裂を介した核外移行と細胞外小胞を介した経路によって分泌されていることが示された。

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